甲子園3カ月ぶり連勝!西岡ダメ押し打
「阪神6-1DeNA」(24日、甲子園)
イキのいい猛虎が戻ってきた。阪神は西岡剛内野手(29)が二塁打2本で3打点をたたき出すなど10安打6得点。ここまで負け越しているDeNAに快勝した。8月21~25日の4連勝以来となる1カ月ぶり、甲子園では6月28、29日の広島戦以来3カ月ぶりの連勝。クライマックスシリーズへの助走は、このまま加速していくはずだ。
この男は甲子園の空気を一変させる。「打たないと、ブーイングされると思っていました」。いたずらっぽく語る西岡。ただ、そこは千両役者だ。結果を示した背番号「7」に降り注いだのは、虎党の大声援だった。
1点リードの八回2死満塁だ。マウンド上はDeNA2番手・山口。「山口君は速球派。変化球は捨てて真っすぐ1本で、振り負けないスイングをした」。カウント2‐1からの152キロを一閃(いっせん)すると、打球は右中間を深々と破る3点二塁打となった。
しびれる場面も、頭は冷静だ。外野は前進守備。だが「外野の頭を越える打球を狙うのは無理。基本に戻って、大振りにならないように心掛けた」。強い信念があればこそ、チームの約1カ月ぶりとなる連勝を決定づける一打は生み出された。
中盤以降、追加点が取れない展開。それだけに和田監督も「雰囲気が重かったが、吹っ切れて空気が変わった」と、西岡が果たした大仕事に、賛辞を惜しまない。
西岡は言う。「もう1つの目標はハッキリしている。そこを勝っていかないと、東京へは行けない」。リーグ優勝は巨人に譲った。だが、CSファーストSを勝ち抜き、東京で巨人を倒す。その先の頂点を目指す権利は、まだ残されている。
強い猛虎軍団をつくる。常に西岡の頭にあるのは、それだ。「頭の良い2番打者がいるチームは強いんですよ」‐。
開幕から2番を務めた大和、そして今は俊介にアドバイスを送る西岡。時には、特定の状況下での思考も説く。1死一塁で走者を進めるには?走者入れ替わりでも自分が盗塁を狙えるなら打っていく。そうでなければセーフティーバントで…と。
それが生きた場面は同点の五回。先頭の西岡は俊介に語りかける。「何とか1、2番でチャンスをつくろう。ここが勝負だ」。西岡の打球は左翼線へ落ち、そして左翼・石川の動きを目で追った。「(左翼手が)カットマンに投げたらいける」。迷わず二塁を陥れ、高々と右拳を突き上げた。
続く俊介は三塁線へ絶妙なバント。これが加賀美が無人の三塁へ送球する失策を呼び、西岡が決勝のホームを踏んだ。「俊介のバントも、いい形でやってくれた」。そう話す西岡の顔に充実感がにじむ。次の目標へ‐。勝利への種は確実に芽吹いている。