スタン力投…勝利お預けもCSへ万端
「阪神2‐4DeNA」(25日、甲子園)
崩れそうで崩れなかった。冷静に大胆に。要所で踏みとどまって、最少失点でまとめた。阪神・スタンリッジが6回1失点。チームは敗戦し、9勝目もお預けとなったが、ポストシーズンへつながる力投だった。
「三回まではリズムをつかめなかったけれど、その後は何とか粘りのピッチングができたと思う。ボール自体はよかった。1点しか取られていないのでね。しっかりゲームはつくれたと思う」
序盤は制球が定まらなかった。初回1死一塁で暴投を犯した。二回1死三塁は松本に右前へ先制適時打を許した。それでもその後は四回以外、毎回走者を出しながら最後の一本は許さなかった。
最大のピンチは六回無死一、二塁。ここで真価を見せた。中村はストライクゾーンで攻めた後、最後は外角低めのボール球のスライダーで空振り三振。続く代打・多村は3球で追い込むと変化球を4球続けた後、フルカウントから外角への146キロ直球で右飛に片付けた。松本も空振り三振に仕留め、先発としての役割を果たした。
6回で116球。7安打を浴びた。それでも1点でしのぎきった。活発な意見交換が好投の一因となった。イニングの合間にはベンチで女房役の藤井彰と何度も言葉を交わした。「藤井さんがいい仕事をしてくれた」。藤井彰は五回2死一塁で荒波の二盗を阻止。息の合った2人が生み出すリズムで、DeNA打線を封じ込めた。
和田監督は「スタンリッジはボールが先行しながらも要所を締めた」。指揮官も納得する内容だった。
今季はここまで8勝10敗。残りの登板はあと2回となる可能性もあるが、次回登板がラストとなることが濃厚。10年以来3年ぶりの2桁勝利は厳しい状況となった。ただ、CSへと戦いは続く。能見、メッセンジャー、藤浪とほぼ1年間ローテを守った右腕。ポストシーズンへ期待を抱かせる力投だった。