桧山の執念!プロ魂CSでも虎引っ張る
「中日4-3阪神」(28日、ナゴド)
阪神、CS大丈夫?はもう言い飽きた。それより今は一人一人の、勝利にかける執念を見たい。それを持ち続けるのが桧山進次郎外野手(44)だ。八回、代打で同点となる四球を選んだ。それでも「ヒットを打ちたかった」と猛烈に悔しがった神様。サヨナラ負けの中で、背番号24のプロ魂が明日への希望だ。
会心でもなければ、最悪の結果でもない。打てていれば…の思いが残った。チームはサヨナラ負け。笑顔でバスに乗り込める展開ではない。試合後、桧山は淡々と歩を進めた。追い込まれながらも、懸命につないだ流れ。勝てなかったことが悔やまれた。
「1球目か2球目で仕留めないといけなかったけど。最低限の仕事はできました」
敵地とは思えない大歓声を背に、打席に入った。八回だ。坂の押し出し四球で1点差に迫ってなおも無死満塁の好機。武藤の初球と2球目の直球をいずれもファウルに。そこから低めの変化球を3球続けて見逃してフルカウントとした。6球目のファウルを挟んだ7球目の内角直球を冷静に見送った。執念の同点の押し出し四球となった。
「ここのところ打ててなかったので、打って決めたいというのはあったけど。同じ1点は1点なんで」
気持ちを抑え、我慢してつかんだ1点。後続が倒れて勝ち越せなかったが、桧山の見せた粘りの価値は色あせない。これで代打での通算打点を「110」に。ただ、そこに満足はない。打点は11日の中日戦(甲子園)での押し出し死球以来、自身6試合ぶりのもの。悔いは残っている。
「今年、まだ一回もお立ち台に立ってないから。引退会見してから立ちたいと思ってきたけど、打ててないしね」
今季、甲子園ではここまで4安打。お立ち台は一度もない。「何度かここで打てばという場面もあったから」。チャンスはあった。言い訳はできない。残りわずかな時間を思うより、日々の打てない悔しさが上回る。チームは10カード連続で勝ち越しなしが決まったが、一打にかける桧山の本能は衰えを知らない。
試合前には、バックスクリーンに「22年間、お疲れさまでした」の文字が浮かぶ中、山崎からねぎらいの花束を受け取った。中日ファンからも拍手が送られた。
「『1日(甲子園での中日戦)の時は僕が武司さんに(花を)持って行きます』と言いました」
秋風を感じながらも、逆らうように熱い闘志を燃やす。10月5日、巨人戦(甲子園)での引退セレモニー。そこが終わりではない。CSでも貴重な戦力の一人。あと何打席なのか。終わりの見えないカウントダウンの中、チームのために気力を振り絞る姿が頼もしい。