マートン、CSへ希望の自己最多18号弾
「中日4‐2阪神」(29日、ナゴド)
快音が響く。強烈な一撃が、左翼席に突き刺さる。自己最多となる18号弾。阪神・マートンは、ゆっくりとダイヤモンドを一周した。まだ同点という展開もあり、節目の一打にも表情を変えなかった。
「打ったのはストレート。高めにきたボールを逃さず、しっかりとたたくことができました」
1点を追う四回。先頭で打席に立ち、2ボール1ストライクからの4球目だった。高めの直球を振り抜くと、はじき返した打球は、阪神ファンの待つ左翼席の人波に消える、同点のソロ弾となった。
「1打席目に真っすぐに遅れていた部分があったので、2打席目は真っすぐにタイミングを合わせるように打席に入りました」
来日1年目に17本塁打を記録。3年ぶりにその数字に並んでいた中、この日にようやく自己最多の数字に到達した。1打席目はバットを折られて投ゴロに倒れていた中、しっかりと試合中に修正を施しての一振りだ。六回の3打席目には、無死二塁から右前打でチャンスを拡大。続く鳥谷の右犠飛につなげた。
「1試合ずつ戦っていくだけです」とマートン。勝利にはつながらず、試合後に笑顔はなかった。それでも、敵地にかけた鮮やかなアーチに希望が膨らむ。チームが停滞している状況もあって、マートンのバットにさらなる期待がかかる。