西岡価値ある出塁!14度目の猛打賞

 「阪神8-4中日」(1日、甲子園)

 懸命に一塁を走り抜けた。14度目の猛打賞となる3安打よりも、価値ある適時打よりも「一番、価値がある出塁だった。しっかり走ってて良かった」。阪神・西岡はそう言い切った。反撃ののろしを上げた相手失策での出塁。それが背番号7の真骨頂だった。

 能見が試合をひっくり返された直後だった。三回、先頭で迎えた第2打席。西川にカウント2‐2と追い込まれながらもファウルで粘り、低めの変化球を見極めた。フルカウントへ持ち込み、最後は外角フォークを懸命に前へ飛ばした。二遊間へのゴロだったが、岩崎がファンブル。慌てて一塁へ送球したが、全力で走っていた西岡の足が勝った。

 これが鳥谷の同点2ランを呼び、試合の主導権を相手から奪い返した。常々、「どの打席でも出塁したい」と言うが、点を取られた直後、味方の守りでミスが出た直後こそ塁に出ることで相手を勢いづかせない。そのすべを知るからこそ、たとえエラーでも価値ある出塁だったと言い切れる。

 1点を勝ち越した直後の四回2死三塁での第3打席は、武藤の初球をきれいに左前へはじき返すタイムリー。「イケイケにしたかったんで初球から行った。盗塁もアウトになっていいから初球から行った」と直後に二盗を決め、塁上でど派手なガッツポーズを決めた。

 「西岡のタイムリーが大きかった。ああいうタイムリーが出なくて苦しんでいたから」と目を細める和田監督。負の連鎖にはまった9月、西岡は「劇的な一打がほしい」とこぼしたことがあった。空気を変えるほどの“特効薬”が出ない。自らもチャンスで凡退するたびに唇をかんだ。

 今、求められていることに対して常に頭を巡らせる背番号7。前日、指名練習に参加したのも流れを変えるために必要と感じたからだ。「今日1日なんで何とも言えないけど、練習に出て3本打ったと言われないように。今度は練習を休んで3本打ちたい!」。聖地に季節外れの雪は舞わなかった。だがチームの雰囲気は確実に、変わった。

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