前田健キラー今成、適時打も守備でミス
「セCSファーストS第1戦、阪神1‐8広島」(12日、甲子園)
己の未熟さをかみしめるように、視線が空を見つめる。つかんだ成果、直面した試練‐。大事な舞台で、今成が野球の怖さを痛感していた。
対戦打率・556。“マエケンキラー”の期待を背に、CS初戦で「6番・右翼」で先発出場。その打撃で期待に応えた。1点を追う四回2死二塁。広島先発・前田健に、瞬く間にカウント1‐2と追い込まれたが…。
「追い込まれていたので、どのボールでも反応しないといけないと思っていた。積極的にいって、バットに当てれば何かが起こるかなと」
その思いが、膝元に来た150キロの直球を中前にはじき返す技ありの一打を生んだ。甲子園の大歓声を浴びながら、一塁を回ったところで今成は右拳を握り、会心のガッツポーズを見せた。
だが、一瞬の油断も許されないのが短期決戦。4点ビハインドの九回1死無走者。梵の飛球に前進して落下点へ入ったかに見えたが、風に流された打球の目測を誤り、半身で後退しながら飛びつくも、白球は伸ばしたグラブの先に落ちた。
痛恨の失策。ここからさらに3点を追加され、勝負は決した。「それ(風)は言い訳になる。捕らなきゃいけないボールだった。次はしっかり捕りたい」。落としそうになる視線をぐっとこらえ、前を向いた。「明日もある。切り替えて行きます」。時間は戻せない。ならば、次こそ勝利に貢献する。できることは、それ1つだ。