「阪神・掛布」なぜ1年契約の声
ミスタータイガース・掛布雅之氏の「阪神復帰」のニュースが駆け巡った。同氏は今秋キャンプと来春2軍キャンプで臨時打撃コーチとして後輩の指導にあたることになった。阪神復帰は実に1988年以来25年ぶり。このニュースに阪神ファンを代表してお笑いタレントの松村邦洋が喜びの声を上げた。
「うれしいの一言です。若手バッターの指導をよろしくお願いします。若手打者陣の成長が今年の悔しさを晴らす近道です。西田選手、伊藤隼大選手、柴田選手には、同じ左バッターとして掛布さんのマネから入るくらいの気持ちでやってほしい」。ファンにとっては待ちに待った人の復帰ということになるのか。もちろん同氏の解説のものまねを長年やってきた松村の思い入れは人一倍強い。
「ただ…」と、松村は続ける。「今回ユニホーム姿が見れなかったことは、とても残念です」。実際、阪神と交わした契約は、契約期間1年、来年3月以降の肩書は未定。在任中、下はユニホームだが、上着はトレーニングウエアを着用する。期待された背番号はお預けとなった。
この契約内容に疑問を持つのは、通算320勝を挙げたOBの小山正明氏も同じだ。「なぜ1年契約なのか。1年では掛布の指導がチームに浸透しない。しかもユニホームを着ずに…。2、3年やれば1人ないし、2人ぐらいものにできる。球団フロントはどんなチーム作りを目指しているのか、もうひとつ分からん」と首をひねる。
もちろん小山氏も掛布氏の手腕には期待している。「現役時代、思い切りのいいスイングを信条にしている選手だった。いま掛布のようなタイプはいない。タイプが違うからといって指導が合わないということはないので適切な指導をすると思う。あとは今の打撃コーチたちと意思疎通をしっかりやること」と話す。
阪神に復帰はするが、果たして1年という契約が切れた後はどうなる?球団が描いているシナリオは?小山氏や松村と同じように、今回のニュースでそう思ったファンは少なくないだろう。松村が希望を込めてこうつぶやいた。「今回の臨時コーチは本格復帰への第一歩、そして未来のタイガース監督への大きな一歩になってほしいです」。その願いはかなうのか。
(デイリースポーツ・佐藤利幸)