高代コーチ「鉄人魂」若虎にたたき込む
阪神の1軍内野守備走塁コーチに就任した高代延博氏(59)が21日、兵庫県西宮市の球団事務所で会見を行った。広島時代の金本知憲氏(デイリースポーツ評論家)を指導した経験を持つ同氏は「金本二世」の育成を断言せず、「鉄人の精神」を継承する人材を増やすと誓った。三塁ベースコーチも務める高代コーチが、必ず虎を変える。
高代氏は苦笑いを浮かべた。広島のコーチ時代、20代の金本を厳しく指導したように阪神でも?報道陣からそんな質問が飛ぶと、ひと呼吸置いて答えた。
「金本と同じように接するというよりも、同じような気持ちの選手を増やす方が先だと思う。あの子は野球がうまくなりたい、お金を稼ぎたいんだという気持ちがありありと出ていた。きょうはノックをやめようというときに、包帯でふくらはぎをぐるぐる巻きにして『少しでいいから打ってくれ』と。なんちゅう選手だと。金本のようなハングリー精神のある選手を増やすことが、言い方としては正解かもしれない」
金本二世を育てるなんて、簡単に断言できない。そう言いたげだった。「選手個人を把握することが一番大事。走力や、打球判断の良しあし、あとは性格だったり」。秋季キャンプから縦じまに袖を通し、指導にあたるが、まずは選手の個性を見極める作業に徹し、「鉄人」になりうる可能性を探っていく。
12年限りで現役を退いた金本氏は引退会見で高代氏を「3人の恩人の一人」と打ち明けた。今も師匠と慕うのは「高代さんにたたきこまれた」という無形の財産が野球人生の礎となっていたからだ。
「内野手は鳥谷一人に頼っているのが現状だと思う。誰がどこに入るかは監督の最後の判断。コーチは『ここまで仕上げました。好きに使ってください』と献上するほう。いい意味で(監督が)迷うようにしたい。練習量は増えると思います」
三塁コーチとしての実績は、会見に同席した高野球団本部長が「言わずもがな」と話したように09年のWBCで世界一に貢献するなど、国際舞台でも証明された。コーチ歴20年を超える百戦錬磨の手腕に再建が託される。