和田監督求む!犠打の「ドクターX」
「阪神秋季キャンプ」(3日、安芸)
求む、ドクターX‐。和田豊監督(51)が3日、犠打スペシャリストの出現と台頭を切望した。リーグ5位の犠打成功率に終わった今季。緻密な野球を遂行する上で欠かせない小技職人を育成する。
午後3時から始まった特打の冒頭、和田監督は一塁側ファウルゾーンで新人・緒方に犠打の奥義をたたき込んでいた。早出メニューにも室内練習場での朝バントを課すなど、犠打成功率アップに向けた思いは強い。
犠打の企図数158に対して、成功数は116。成功率はリーグ5位の・734。リーグ優勝を果たした巨人は2位の・821。42を数えた失敗をひとつでも減らさなければ、9年ぶりの覇権奪回は見えてこない。
「ドクターXが欲しいよな。『私、失敗しないので』っていうスペシャリストがな」。TV朝日系で放送中のドラマ『Doctor‐X 外科医・大門未知子』。米倉涼子演じるフリーランスの女性外科医の決めゼリフを用いながら、和田監督は職人の台頭を切望した。
虎将が標ぼうする野球は、打ち勝つものではなく、少ないチャンスを生かして奪った得点を守り抜くスタイル。チャンスを広げ、生かす点において、犠打が持つ意味は大きなウエートを占める。
「今年もあったもんな。きっちり送れていれば、得点につながっただろうというケースがね」。脳裏で回想するのはやはり、犠打失敗が敗戦につながった場面。来季こそはという思いは募る。
88年から2年連続でリーグ最多犠打を記録するなど、プロ通算212個の犠打を決めた技術の贈与は惜しまない。失敗に学び、練習で補う‐。弱点を消し去り、頂点に立つ可能性を膨らませる。