良太弾!新打法でいきなりドカ~ン
「阪神秋季キャンプ」(11日、安芸)
阪神・新井良太内野手(30)が11日、秋季キャンプ初のシート打撃で、初打席の初球をバックスクリーンに放り込んだ。秋季練習から取り組んできた新打法での1号アーチ。ライバルの多い「戦国三塁」を勝ち抜くため、今季の自分を捨てる旅に出る。12日の練習試合オリックス戦(高知・東部)で4番を任される。
新井良のホームランボールが、望遠レンズを構えていたカメラマンをかすめた。到達点はセンターバックスクリーンの左横。大飛球が防護ネットを越え、球場脇の林道に転がった。西村の直球を捉えた流れるようなフォームは今年のそれとは明らかに違っていた。
新井良が新井良を捨てる。これが、秋のテーマだ。先週、掛布DCとぶっちゃけトークをしたという。ミスタータイガースは「良太本人が『今年の新井良太は捨てました』と言ってましたよ」と、対話の中身を明かした。開幕4番を任されながら、不本意なシーズンを過ごした新井良にとって、来季は挽回を期す年。和田監督からも打撃改良を促され、「脱・自分」をテーマに掲げ、新フォーム固めに取り組んできた。
「新しいタイミングの取り方をやってる。これまでは1本足で(タイミングを)とっていたのを、流れの中でスムーズにとるようにした。これを無意識でできるようにフォームを固めていきたい」。左足を上げ、弓を引くようにバットを構える、従来の2段階のようなフォームが前の足を突っ張らせていた。踏み込む左足が右足と平行にならない。この悪癖が内角球の対応を鈍らせていた。
スムーズに。流れるように。これが目指す形だ。(1)1本足を「すり足」に、(2)バットを引く動作を小さく、(3)打席での立ち位置を一足分、ホームベースに寄る。首脳陣の教えと自分の感覚をミックスしながら、試行錯誤を重ねてゆく。劇的な「ビフォーアフター」で即結果につながった。
「率も上げて、ホームランも打ちたい。ちゃんとした形で打たないと、ホームランは出ない。方向性は間違っていない。精度を高めていきたい」
一塁、三塁を守る新助っ人がやって来る。非凡な打撃センスの今成が三塁に挑戦中。今季の開幕4番が安穏としていられない立場に追い込まれた。だが、天性の飛ばす力さえ表現できれば、新井良の前途を遮るものはなくなる。