掛布DC提言 もう隼太流崩すな
阪神の掛布雅之DC(58)は20日、秋季キャンプを振り返り、成長した選手の1人に伊藤隼太外野手(24)の名前を挙げた。伸び悩む11年のドラ1に対し、金本知憲氏を例に挙げて「ボールに合わせず自分の間合いで打て」と、“オレ流”のプレースタイルを飛躍のポイントに挙げた。
久々に現場の空気に触れ、若虎の現状を把握できた。実りの多かった秋季キャンプ。掛布DCは北條、今成、中谷、緒方…と次々に名前を挙げて、笑顔で成長を振り返った。そんな中、伊藤隼の話題になると、特別な思いを明かした。
キャンプ中に仕事で一時離脱することはあったが、安芸に滞在時は毎日、宿舎の部屋で伊藤隼と夜間練習を行った。内容は技術指導だけにとどまらなかった。「隼太は悩んでいたね」。現状を打破するにはどうすればいいのか。2人で目指すべき方向を模索し、最後の夜間練習となった19日に方向性が見えた。
「彼はボールに合わせて打ちに行きたがっていた。(1軍に)上がって、すぐ落ちたりしていたからいい結果を出すよりも、悪い結果でも(首脳陣に)納得してもらえる結果をつくらないといけないということで、野球自体が小さくなっていた、ときのう話し合った」
解決への糸口はプレースタイルの変化だった。「もう怖がるな。ボールに合わせるんじゃなくて、自分の間合いで打て。もう崩すな」。自分の打撃を貫くことの重要性を説き、金本氏を例に挙げた。
「金本は自分のタイミングで、ボールを引きつけてパーンと打っていたよね?隼太も自分の打つところに呼び込んで、自分のスイングをして対応した方がいいんじゃないか、ということで一致した」
一夜明けたこの日、伊藤隼は吹っ切れていた。「将来的に3番を打てるようになりたい」。キャンプ最終日はフリー打撃で快音を連発する姿に、掛布DCは「やっと手応えを感じていると思う。(オフも)続けてくれるでしょう」。12月以降は指導できないが、鳴尾浜にも足を運んで状態を確認する計画もある。来年は一皮むけた伊藤隼が見られるはずだ。