阪神・大和内野手（２６）が３日、西宮市内で契約交渉に臨み、２４００万円から倍増となる年俸４８００万円でサインした。高い評価を受けた大和は来季目標を「ゴールデングラブ賞と盗塁王」のダブル受賞に設定。０１、０３、０４、０５年度に計４度ダブル受賞した赤星憲広氏（現野球解説者）以来、球団史上２人目となる記録を目指す。

　大和はニコッと笑いながら、会見場の席に着いた。報道陣であふれかえる部屋を見渡し、球団広報に耳打ちした。「きょう、人多くない？あ、晋太郎の後だから…」。藤浪の会見から約３時間半後、それに劣らぬ数のフラッシュが、生え抜きセンターを照らした。

　「トータルで、ものすごく評価してもらった。２番で２割７分を打ったというところと、盗塁の数を評価してもらいました」。今季は１０４試合の出場で打率・２７３、１９盗塁、自身最多の１０５安打を記録した。８月２０日ＤｅＮＡ戦で右手に死球を受け、優勝を争う夏場に離脱を余儀なくされたものの、プロ８年目で初の規定打席に到達。交渉役の高野球団本部長から「ケガが最小限にとどまった。うちの査定ポイントが高い選手の一人」と、走・攻・守すべての貢献度を高評価され、２４００万円からの倍増をゲットした。

　昨季、本格的に外野手に転向し、今季は２番・中堅でプロ初の開幕スタメン出場を果たした。それでも「悔しさしか残らないシーズンだった。大事な時期に離脱してしまって」と責任を痛感。今年結婚した麻理子夫人からは「契約してもらえるだけでいいんじゃない」と見送られたが、モチベーションの高まる契約提示を受け、気持ちを新たにした。

　「盗塁王もゴールデングラブも獲りたい」。来季目標はもはやレギュラーを獲ることではなくなった。阪神でこの部門のダブル受賞を果たしたのは計４度受賞した赤星憲広、たったひとり。ハードルの高さは望むところだ。

　「ゴールデングラブは１４４試合出ていれば可能性はあるし、盗塁の技術は盗塁できる人にしか分からない。機会があれば、いろんな人に聞きたい」。冷静にどん欲に、大和は球団史上２人目の偉業に挑む。