呉昇桓“韓流”スローペース調整

 来日中の阪神の新外国人・呉昇桓(オ・スンファン)投手(31)が12日、甲子園球場を視察した。前日に和田監督ら現場首脳と会談し、韓国時代の調整法が認められ、開幕までスローペースで進めていく方針。球場の全景を見渡し、「ここでセーブを挙げるイメージをしている。楽しみになってきた」と新天地に心を躍らせた。

 冬晴れの聖地を歩む呉昇桓の足取りが弾んでいた。広大なスタンド、伝統感漂う雰囲気‐。4万7000人超のファンの期待を一心に背負ってマウンドに立つ。今まで映像や、伝聞でしか知らなかった甲子園を体感し「ファンがスタンドを埋めることを想像したら楽しみになってきた」と自然と白い歯がこぼれた。

 アメリカンフットボールの大学日本一を決める「甲子園ボウル」が15日に開催されるため、マウンドに立つことはかなわなかった。それでも「ここでセーブを挙げた姿をイメージしているところ」と心を躍らせた右腕。「球場も大きく見える。右中間、左中間も広いし」と柔和な表情を浮かべる。

 開幕までの調整方針も固まった。前日に大阪市内のホテルで和田監督、中西投手コーチらと会談し、韓国時代の調整法を続けることを確認し合った。「韓国でやってるようにやればいいよと言われた。今の状態だと(ブルペン入りの)日付は決めてない。もともと急いでつくるタイプではないので、ゆっくり。実戦もゆっくりになると思う」と明かす。

 会談の中で「早くつくれと言われればつくります」と申し出たが、首脳陣がストップをかけた形。本来なら一日でも早く実戦で見ておきたいが、呉昇桓のストイックな姿勢、韓国プロ野球最多となる277セーブの実績に全幅の信頼を寄せている証し。キャンプ中にブルペンでしっかりと調整し、初実戦は3月のオープン戦になる見込みだ。

 サムスン時代に5度の胴上げ投手を経験した右腕は「誰もが優勝の瞬間に投げていたい。サムスンで3年連続優勝しているので、個人的に4年連続を目指したい」。歓喜の輪の中心にいるのは自分‐。そのためにも「チーム、首脳陣から信頼を得なければいけない」。開幕までに何をすべきか、この男は知っている。

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