新井良太、アニキに誓った!来年はブレない
アニキ激怒の真相は…。先日都内で開催されたデイリースポーツ主催の「2013阪神タイガース激励パーティー」に参加した阪神・新井良太内野手(30)とデイリースポーツ評論家の金本知憲氏(45)が471人の猛虎党を前に、今夏の秘話を明かした。阪神首脳のはからいで新井良の指導を頼まれたアニキは「お前には性根がない」と一喝。レギュラー奪取を願うからこそ、発奮を促す言葉は熱を帯びた。
アニキから一喝された、苦い記憶が薄れることはなかった。新井良はパーティー会場をぎっしり埋めた阪神ファンの前で、ある夜の真相を語り始めた。
「甲子園でナイターが終わったあとでした。家に帰る途中、電話が鳴ったんです。金本さんからだったので車を脇にとめたんですけど、雰囲気が違ったので、ヤバイなと…」
背筋を伸ばし耳を傾けると、受話器のむこうから広島なまりの怒号が響いたという。
「ワレみたいな、性根のないヤツは、ほんま、知らんけぇの」
開演から笑いの絶えなかった激励会が一気に締まった。金本氏は思わぬ暴露話に苦笑いしながらこう答えた。
「八方…いや、十八方美人なんですよ、良太は。一つのことを教えても、色んな方向に気が向いてしまう。お前には信念がないんだと怒ったんです」
ことの発端は真夏の広島遠征だった。開幕4番を任されながら序盤にケガで戦列を離れ、復帰後も結果が伴わない。初夏に24打席連続無安打に陥るなど、出口の見えない試練が続いていた。そんな新井良に手を差しのべたのが、アニキだった。
水谷前チーフ打撃コーチが、評論家としてマツダスタジアムに来場した金本氏に打撃指導を頼んだ。すると、助言を実践した新井良は大竹から左中間へ特大の2ラン。師匠は解説席でうれしそうに目を細めたが、笑顔は長続きしなかった。その後も、長短のトンネルを繰り返す姿に「なぜ、結果の出た形を続けないんだ」と、もどかしさを募らせていた。
今季、新井良が金本氏からヒントをもらった翌日に本塁打を放った試合が計4度あったという。首脳陣の仲介が実を結んだわけだが、その教えを貫かなかったことを、今でも後悔している。
「厳しいことを言ってもらえるうちが華。来年はもう、ブレません」。秋季キャンプで熱心に指導を仰いだ掛布DCの打撃理論が「金本さんと同じだった」という。ぜいたくなお手本が身近にある。あの夜、本気で叱ってくれた親心を無駄にはできない。