阪神の中西清起投手コーチが９日、鳴尾浜での新人合同自主トレを視察し、藤浪晋太郎投手（１９）に“主力調整”を課す考えを明かした。２月１日にブルペンで捕手を座らせて投球練習し、２月中旬の初実戦からローテを組んで開幕カードへ向かわせる方針。強化練習に参加した藤浪は、２年目の調整に責任感を口にした。

　１年前、緑のビブスをつけて鳴尾浜のグラウンドを走っていた男が、今年は主力扱いで、調整を任される。鳴尾浜で、新人合同自主トレを横目に強化練習に励んだ藤浪。３月２８日からの巨人との開幕カード（東京ドーム）登板に向けて、歩む道のりを明かしたのは中西投手コーチだ。

　「藤浪は２月１日にブルペンで捕手を座らせて（投球練習する）という形になる。実戦も最初（２月１１日・日本ハム戦）はない」。昨年のキャンプでは高卒新人ということもあり、ブルペンでの調整や実戦での球数を厳しく制限した。だが２年目の今季は大きな制限を設けず、調整させる予定だ。

　キャンプ初日にブルペンに入り、２月中旬から実戦登板というのは、主力投手のスケジュール。沖縄・宜野座キャンプ序盤の練習試合は秋山、岩本、歳内、筒井ら、開幕ローテ入りを争う投手を登板させる方針。藤浪は中旬の初実戦から開幕まで、能見やメッセンジャーらとローテを組んで実戦で登板し、調整することになる。

　そんな主力調整にも、１９歳の右腕は浮かれる様子はない。「自分のペースでできる一方、責任が出てくるのでしっかりやりたいと思っています」。調整に失敗すれば、自分だけでなくチームの台所事情にも大きく響く。その重さを実感しているからこそ、藤浪の口から“責任”という２文字が出てくる。

　松田を相手にしたキャッチボールでは約６０メートルまで距離を伸ばし、力強いボールを投げた。昨年の新人合同自主トレはマウンドの傾斜を使って感覚を確かめるため、初日からブルペンで立ち投げを行ったが「去年よりは早くならないですが、自分の感触で（ブルペンに）入りたい」と言う。

　「キャンプインと同時に（捕手を座らせて）ブルペンへ入れるくらいには。あくまでもシーズンに向けての調整なので、ベストパフォーマンスをキャンプで出す必要はないですから」と今後の調整プランを口にした藤浪。２年目のジンクスという言葉も関係ない。３月２８日から始まる宿敵との開幕カードへ‐。１９歳が歩んでいく道筋は、はっきりと見えている。