阪神の新人６選手による合同自主トレが９日、兵庫県西宮市の鳴尾浜球場でスタートした。即戦力と期待されるドラフト１位・岩貞祐太投手（２２）＝横浜商大＝は、年下ながらプロでは先輩となる２年目・藤浪晋太郎投手（１９）を参考に、１年目からの活躍を果たす考えを示した。

　岩貞の表情に、不思議と過度な緊張感はない。それは、目標が日々明確になってきているからだ。合同自主トレ初日。多くの報道陣が集まったが「特に気にせず、集中してできた。今までやってきた野球と一緒。意外と、そういう気持ちの変化はなかった」という。

　即戦力としての期待に応える。成長への要素は、どん欲に取り入れる。そのために、岩貞は後輩へ教えを請うこともいとわない。

　昨季、プロ１年目で１０勝を挙げた藤浪は、新人とはいえ大卒の岩貞にとって３歳下の後輩。だが「１年間、プロでやってきた人。練習態度であったり、１年目から成功するポイントなどを参考にしていきたいです」と“藤浪先生”から成功の秘けつを学ぶ構えだ。

　前日の初顔合わせでも、その謙虚さが出た。年上の岩貞へ敬語であいさつをする藤浪に対して「こちらも敬語を使ってしまって…ぎこちなくなってしまいました」と話し、周囲を笑わせた。

　「自分はプロでやったことがない。（藤浪は）ライバルというより先輩。分からないところは教えてもらいたい」。年齢は関係なくプロで結果を残した右腕をリスペクトする。あいさつのぎこちなさも、岩貞の人間性を表した一幕だった。

　和田監督が「現時点では連れて行こうと思っている」と話すように、キャンプは沖縄・宜野座でスタートすることが濃厚。中西投手コーチも「即戦力として考えている」と大きな期待をかけた。

　「もちろん（キャンプも）上でやっていければと思っている。沖縄に呼ばれるように、１カ月しっかりと頑張りたい」。尊敬する能見から、“先輩”藤浪から、キャンプで多くを学ぶための関門。そして猛虎のエースへと続くその道を、岩貞は歩み始めた。