和田監督、心の復興へ神戸Vパレードを
心の復興を‐。阪神・和田豊監督(51)が阪神・淡路大震災から19年となった17日、神戸市内で開かれた震災復興イベントに参加し、リーグ優勝と日本一を誓った。「我々タイガースが勇気を与えられるのは野球。元気と感動。少しでも多く笑顔になってもらえるように頑張ります」と被災地に決意を刻み込んだ。
あれから19年の月日が流れた。95年1月17日午前5時46分。6434人の尊い命を奪った阪神・淡路大震災。家屋が崩壊し、町は火の海に包まれ、交通網が寸断された悪夢の日。和田監督が心の復興を手助けする。
「街並みや建物は、時間を掛ければ、いつか元に戻る。でも本当の復興は心の中にある。リーグ優勝と日本一。神戸で優勝パレードをお見せしたい」。西神戸センター街で開かれた震災復興イベント。特別ゲストで参加した和田監督の言葉が、聴衆の拍手を誘った。
震災当年、「がんばろうKOBE」を合言葉にして、同じ関西に本拠地を構えるオリックスがリーグ優勝を果たした。その陰で阪神は46勝84敗という屈辱的な数字でリーグ最下位に終わった。
「19年前はオリックスが、“がんばろうKOBE”のワッペンを身に着けて優勝した。我々は最下位だった。悔しかったし、被災者の皆さんにすごく申し訳ない思いだった」。虎将は現役だった当時を思い起こし、悔恨の表情を浮かべた。
昨年は楽天が日本一を飾り、東日本大震災の被災地と被災者に復興への勇気、希望、感動を与えた。19年前の雪辱を果たす‐。タテジマが一丸となってセ界制覇に挑む。
「我々タイガースが勇気を与えられるのは野球。元気と感動。少しでも多く笑顔になってもらえるように。この歴史、この事実を風化させてはいけない」。3年契約の最終年。唯一無二の目標に掲げる優勝に向かって突き進む。
震災当日、滋賀県内で自主トレ中だった和田監督は、交通網が寸断された大阪から、兵庫県西宮市内の自宅まで徒歩で帰った。家族に会いたいという一念で、真冬の中、額に汗を浮かべて、足を前に向け続けた。
懸命に目的地にたどり着いた思いをペナントに生かす。144試合の長丁場。待ち受ける幾多の苦難と試練を乗り越える。宿敵・巨人を倒しての優勝こそが、真の復興への近道になると信じている。