阪神・藤浪晋太郎投手（１９）が２０日、兵庫県西宮市の鳴尾浜球場で行われた強化指定練習に参加し、今年３度目のブルペン投球で変化球全球種を解禁した。自主トレのため同球場を訪れていた正捕手・藤井彰人捕手（３７）も右腕の球を絶賛。２年目の活躍に太鼓判を押した。

　わずか６球に、すごみが凝縮されていた。藤浪が今年３度目のブルペンで、初めて藤井に右腕を振るった。モノが違う‐。男前は「うん、うん」と何度もうなずいた。冷え込んだ鳴尾浜で、熱気をほとばしらせた。

　「前回と変わりないですよ。良くなっているとも思わないですけど悪くないですね」

　藤浪本人はそうクールに言ってのけたが、その迫力は他を圧倒していた。もちろん藤井の感想も違う。右肩上がりに描く成長曲線に驚きを隠せなかった。

　「びっくりした。インステップ、インステップと言われていて、どうかなと思っていたけど、真っすぐに関してはボールの質が良くなっている。モノが違うと感じた」

　最初は後方で投球を見守っていた藤井だが我慢できなかった。ブルペン捕手を務めた育成選手の原口に代わり、ミットを構えた。６球受けた左手に残った感触は、楽天時代、ともにプレーした田中の２年目のときのよう。「あいつも年々、ボールもコントロールも良くなっていった」。メジャーに挑戦する無敗右腕にその姿を重ね合わせた。

　直球に加えて、カーブ、スライダー、フォーク、チェンジアップ、カットボール、ツーシーム。全３４球の中で今年初めて持ち球のすべてを投じた。変化球は少々、暴れる場面もあったが、「この時期にしては割といいです」と感触は上々だ。

　昨季は試合で使う割合が少なかったチェンジアップ、ツーシームについても「試合で使えなくても困ることはないですが、あればいい。できれば投げられるようにしたいです」と完全習得を誓った。

　新たに芽生えた責任感が右腕の成長を後押しする。球数やブルペン投球などを制限された昨年とは違い、今年は首脳陣から調整を任されている。「任されてもらった方がやりやすいです。考えてできるので」。充実した表情が調整の順調さを物語る。１１日後に迫った沖縄キャンプに向けて死角は見当たらない。