藤井、鳥谷になる!正捕手は譲らない
男前がイケメンにならう!!阪神・藤井彰人捕手(37)が22日、大阪府富田林市のバッティングセンター「ニュー富田林」で自主トレを行った。05年から毎オフ練習拠点にしてきた同センターで、今回振り込んだバットは新調した鳥谷敬内野手(32)モデルのバット。キャプテンのバットを今季の相棒に定め、目指す打撃スタイルもクールなキャプテンを「参考にする」ことを明かした。
宿敵の正妻が快晴のグアムで汗を光らせるなら、猛虎の男前は曇天の富田林で白い息を吐く。
「すんませ~ん」。正午過ぎ、藤井が楽天時代から通うバッティングセンターにやってきた。1セット22球のプリペイドカードを機械に差し込み、ゲームスタート。アーム式のマシンが規則的に投じる準硬式球を、軸のぶれないフォームではじき返した。
誰がどう見ても素人じゃない。野球経験者らしき男性客が、その快音に聞きほれた。10セットで計220球。ネット最上部に「ホームラン」と記された直径60センチの円形パネルにも一度ぶち当て、今季初アーチ。「トリのバット、ええ感じやわ~」。藤井のえびす顔がほころんだ。
「打たんと、おもんない」。思い描く今季の理想を問うと、間髪入れずにそう答えた。
目標は、打てる捕手。「阿部慎之助は俺らと目のつくりがちゃう」と、南国で自主トレ中の巨人軍主将を化け物扱いするが、リアルに目指すスタイルは自軍のキャプテンだ。昨季終盤、鳥谷のバットを借りて試合前の打撃練習を行い、マイバットより数ミリ細いグリップに両手がなじんだ。オフになると、拝借したバットをメーカーに持ち込み、全く同じ形状を発注。14年の相棒に定めた。
見習うのは用具だけではない。自己最多77安打を記録した13年、実は鳥谷の打撃スタイルを取り入れていた。「僕は、打ったろう、決めたろうとボールを打ち急いでいたけど、トリは目付けをして、違う!と思ったら冷静に見送る。まねしたろうと思った」。打席で余裕を持ち、「いらっしゃ~い」とボールを呼び込むことで、かつて金本知憲から指摘された、左肩が投手方向に突っ込む悪癖も修正。プロ15年目にして「打ち方を間違えていた」と開眼の境地を味わった。
「日高、鶴岡、僕。阪神にはおっさんが3人いる。僕のような選手に引退はない。やめるのはクビになるとき」。鶴岡の加入で捕手は激戦区と化した。イケメンの主将にならう男前が、し烈なおっさん争いを制する。