森田3安打にも掛布DC「まだまだ」
「練習試合、阪神5-5サムスン」(14日、宜野座)
掛布DCが興奮気味に両手をたたいた。指導者としての喜びが、全身からにじみ出ていた。3点を追う九回1死満塁から森田一成内野手(26)が放った走者一掃の右翼線同点二塁打。今季初の対外試合で3安打を記録した教え子に、目を細めたかったが…。
直後に右翼からバックホームされた隙に三塁を狙って憤死。ベンチ前のカメラマン席で見守った掛布DCは思わず、ずっこけた。実は森田が打席に入る前、近くにいた杉本チーフトレーナーらに「森田が二塁打を打って同点になって、隼太が打って終わりだ」と予測していた。
実際に森田は同点二塁打を放ち、伊藤隼もしぶとく左前へ落としたが「動物的勘が働いたんだけど…。森田の走塁は俺の予測をはるかに超えていた」と苦笑いを浮かべる掛布DC。宜野座合流初日となった前日13日には、打球が上がらないと悩みを打ち明けた森田をマシン打撃に呼んだ。その場でスイングを診断し「左肩が少し下がっている」と両肩をレベルに回し、上からたたくイメージを植え付けた。
四回の第2打席で外角の変化球を強引に引っ張りあげて右前へ落とすと、続く六回の第3打席は直球を引っ張って右中間を破った。そして九回1死満塁では、追い込まれながらも外角の変化球を右翼線に引っ張った。それでも本人は「結果は出たけど、めちゃくちゃ良い感じではないので」と喜ぶそぶりは見せなかった。
それは、師匠の目にも同じように映った。「本人は良い感じかもしれないが、僕らが求めているものにはまだまだ。僕らが感じられるようになって、次のステップに進める」と掛布DC。荒々しいまでの力強さ、器用なイメージを吹き飛ばすほど強引な姿‐。師がその印象を感じ取った時、森田は真の、大きな変貌を遂げることになる。