今成1号&猛打ショー!カケフみたいや
「練習試合、阪神5-5サムスン」(14日、宜野座)
阪神は14日、韓国・サムスンと今キャンプ初の実戦となる練習試合を行った。三塁の定位置を狙う3番・今成亮太捕手(26)が五回に掛布雅之DCをほうふつとさせる左越え本塁打を放つなど、3安打と大暴れ。ライバルの4番・新井良太内野手(30)は2打数1安打だった。ホットコーナーをめぐる争いが日々熱くなる。
振り抜かれたバットから放たれた白球が、左翼席最前列で大きく跳ねた。今成の思いの強さが生み出した、価値のある一発だ。
5点を追う五回2死。2番手・金熙杰(キム・ヒゴル)の初球、141キロの直球を完璧に捉えた。「あれは風だと思います」と照れ笑い。それでも「いい角度で上がってくれたから本塁打になったんだと思う」と内容のある一打だ。
だが、一番の手応えを得たのは、初回2死の1打席目。相手先発は左腕の白正鉉(ペク・ジョンヒル)。今年初実戦で「投手の球を見たかった」と目的意識を持ち、カウント1‐2と追い込まれながら144キロの直球を左翼線へ運んだ。
「自分のイメージ通りに打てた。左投手から打たないと、チャンスはないですから。大きかったと思います」
三回の第2打席もカウント2‐2から中前打。そして五回の3打席目は一転、「ファーストストライクからいこうと思った」と初球勝負にこだわり、見事な本塁打とした。
課題を持ちながら、結果を出す。「144試合に出られるようにしたい」と、さらなる出場機会を求めてオフに三塁転向を決意。その思いが、今までにない力強さとなった。
打撃練習で掛布DCに「左肩が下がっている」という助言を受け、すぐさま修正しての一発でもある。師匠から「レベル(スイング)で打ったな」と賛辞の言葉を贈られた。
この今成の猛打に、ライバル球団も震え上がる。巨人・森中スコアラーは「今成はいいね。去年試合に出た選手が、しっかり対応している。あの打撃は(控えでは)もったいない。出てくれば脅威になる」と警戒した。
課題の守備では九回無死一塁で、三塁左への難しいバウンドのゴロを処理。併殺は取れなかったが、和田監督は「よく捕った。球際に強いね」と及第点を与えた。ただ、今成自身に満足感はなく、「もっと試合での打球を受けたい」ときっぱり。試合後も特守に汗を流した。どん欲に、ひたむきに‐。定位置獲得のときまで、今成は走り続ける。