マートンG西村撃ちへ4メートル前打撃
「阪神春季キャンプ」(26日、宜野座)
マット・マートン外野手(32)が、超異例の打撃練習を行ってキャンプを打ち上げた。打撃投手に10メートル前後の距離から速球を要求し、見事に打ち返した助っ人。その意図を3月28日の開幕戦(東京ドーム)で戦う巨人の守護神・西村を打ち込むためと明かした。
フリー打撃も終盤にさしかかったころだった。キャンプ打ち上げの哀愁が漂うグラウンドで、マートンが意外な行動を取り始めた。おもむろに打撃ケージから3~4メートルほど前に足場を固めだした。そして、中井打撃投手にはこん身のストレートを要求した。
フリー打撃では投手との距離が約14メートルに設定されているが、異例の打撃練習は10メートル前後の距離でスタート。左投手のレーンでは右打者の新井がフルスイングしていた。打球が直撃する危険も否めない中、おかまいなしと言わんばかりに前に出たマートン。体感速度で150キロを超すストレートを、きれいにライナーではじき返してみせた。
終了後には中井打撃投手と笑顔で握手を交わした助っ人。だが異例の行動に周囲はざわついた。過去には桧山が1メートルほど前に出て打撃練習を行っていたが、ここ数年では見たこともないような練習風景。その意図を問われたマートンは、巨人の守護神・西村の名前を挙げてこう説明する。
「3月28日の開幕戦で巨人の西村を打てるように、体の反応速度を上げておきたかった。もちろん西村を出さない展開にするのがベストだけど、もしそうなってしまったときのためにね」
約1カ月後に控える宿敵との開幕3連戦は、スタートダッシュを決める上で重要な戦いとなる。たとえビハインドの展開になったとしても、守護神・西村にダメージを残せれば、長いペナントレースで大きな意味を持つ。
明確な目的意識を持ち、最後の総仕上げとして行った150キロ打ち‐。「ゲームをイメージして、やることができた」と充実の表情を浮かべた。キャンプ序盤に「ジャイアンツ、バイガエシ!」と宣言した男の目は、早くも戦闘モードへ切り替わっている。