呉昇桓OP戦失点デビューも心配無用

 「オープン戦、ソフトバンク6─0阪神」(5日、ヤフオク)

 打たれても心配無用だ。阪神・呉昇桓投手(31)がオープン戦に初登板した。七回の1イニングを1安打1失点。最速は148キロ止まりだったが、高い修正能力を見せ、不安な様子はなかった。次回登板は9日・巨人戦(甲子園)の可能性が浮上。宿敵相手に本領を見せつける。

 石直球が痛打された。1死二塁、カウント1‐1から呉昇桓が投じた145キロ直球。やや外角高めを柳田に捉えられて、中越え適時二塁打を浴びた。右腕は失点を悔やんだが、マスクをかぶった藤井がタネを明かした。

 「わざと高めに投げてもらった。沖縄ではもっと(球速が)出ていたし、まだまだ出ると思う」

 意図を持った高めへの要求。この時期だからこそ、試せることだ。これまでの実戦は紅白戦か練習試合・LG戦。シーズンで対戦する相手に試すことで見えてくる課題も含めて、意味のある1イニングになったはずだ。

 その中で、圧巻だったのは失点直後の高谷への投球だ。初球、145キロ真ん中低めで空振り。2球目を146キロ高めに投げて空を切らせると、最後は再び高めに144キロ直球を投げ込み3球三振。明らかにギアを上げた直球は、バットに一度もかすらせなかった。和田監督も「打たれたあとの真っすぐは良かった」と称賛した。

 盟友に気合を注入された。4日、福岡市内の焼き肉店で、今季からソフトバンクに加入した李大浩と食事した。2013年WBCでともに韓国代表になって以来の再会だ。

 「30セーブは当然として、40セーブはやれる」。突然思わぬゲキを飛ばされたが、食事の席では李大浩のバットを“おねだり”。この日の試合前に手渡された。新天地での戦いを前に、母国の同級生から力を与えてもらった。

 開幕へ向けて、次なる準備に入る。中西コーチが呉昇桓の次回登板を問われて「甲子園、甲子園」と明かした。さらに巨人戦か、との問いに「可能性はあるな」と続けた。オープン戦2試合目にして開幕戦の相手、宿敵と対峙(たいじ)する可能性が出てきた。

 「安打を打たれずに、できるだけ失点しないようにしたい」と次戦への目標を掲げた呉昇桓。九回は、巨人打線を完璧に封じ込めてゲームセット。甲子園初マウンドで、新守護神が開幕を想定したG斬りデモを演じる。

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