藤浪“収穫1敗”課題浮き彫りも修正可
「オープン戦、阪神5-6日本ハム」(8日、甲子園)
阪神・藤浪晋太郎投手(19)が8日、日本ハムとのオープン戦に先発し、プロ入り後初めて大谷翔平投手(19)と投げ合った。5回を9安打5失点。9安打中左打者に8安打され、3盗塁を許すなど課題が浮き彫りになったが、開幕に照準を合わす右腕は収穫を強調。チームは5年ぶりのオープン戦5連敗で、初戦から6戦白星なしは80年以来、34年ぶりとなった。
冷え込んだ甲子園で同じような光景が繰り返された。左打者に打たれ、走者を背負うと盗塁を企てられる。藤浪の課題が三回の投球に凝縮されていた。
先頭の中島にカーブを左前に運ばれると二盗でピンチを広げる。陽岱鋼は三振に仕留めたが、2番杉谷にはツーシームを左前へはじき返され、先制点を献上。さらに一走杉谷に再び二盗され、西川には左前適時打を浴びた。試合途中からけん制球を増やして対処したが、防ぎきれなかった。
「一、二回はいいボールが投げられたけど、三回以降はフォームがばらついてズルズルいってしまいました」
それでも、マウンドでは顔色一つ変えなかった。結果は5回9安打5失点。計3盗塁を許すなど開幕に向けて不安を残した。だが、まだ3月上旬のオープン戦だ。この日、浮き彫りになった課題すべてが収穫だった。
「スチールが多かったのは癖かタイミングか、何かあったのかもしれない。まだオープン戦なので。これがシーズンだったら大問題ですけど。逆に走ってもらってありがたかったです。癖はすぐに見つかるでしょうし、修正できると思います」
昨季苦手にした左打者にも8安打された。今年の実戦は抑えてきたが「今日は思い切ってインコースに投げきれなかった。左の甘い球を左前に運ばれた」と分析。「自分の球を投げられたらそう簡単には打たれない。改善の余地はあると思う」と自信をのぞかせた。
一方で、この日は、昨季使うことが少なかったスライダー、ツーシーム、カーブなどを積極的に試した。藤浪はカットボールなど速い変化球のイメージが強いが、今年の投球のテーマは緩急。「ここ一番で使えるようにしたい」と新境地を切り開いていく考えだ。
大阪桐蔭の先輩中田は、3打数無安打2三振。完璧に封じて「中田さんの打席はスライダーとカットがいいところに決まってくれた」と声を弾ませた。
プロ入り後、初めて投げ合った大谷については「ファンの方が喜んでくれて良かったです」と淡々と振り返った。開幕まで3週間。本人に焦りはない。それまでに課題を修正していくだけだ。