新井止まらん!OP戦初4番で2の2
「オープン戦、巨人7‐6阪神」(10日、伊勢)
絶対に打ってやる‐。ボール気味の外角スライダーに食いついていった阪神・新井の姿から、その気持ちがにじみ出ていた。打つべきボールではなかったかもしれない。ただ絶好調をキープする男が狙った球を仕留めた打球は、二遊間をしっかりと破っていった。
場面は1点を追う三回1死一、三塁。その初球、宮国が投じたボール気味の外角スライダーにバットを伸ばした。「ちょっと強引に行き過ぎた」とややバットの先っぽだったが、振り抜いたことで打球は中間守備の二遊間を破っていった。
オープン戦で初めて4番に座り、放った同点適時打。五回の第3打席でも左前打を放ち、初回の四球も含めての2打数2安打に「内容と結果が伴ったのは良かった」と手応えを口にする。前日は家族の体調不良のため急きょ、甲子園での巨人戦を欠場し広島へ戻った。だが調整に大きな狂いが生じることはなく、キャンプからの実戦成績はこれで24打数14安打だ。
だがこの日の結果はもう一つ、大きな意味を持つことになる。相手は開幕戦で戦う巨人。昨年はトータルの対戦成績で・310とヤクルトに次ぐ好相性を見せたが、あの3連戦ですべてが変わった。
昨年8月27日から東京ドームで3連敗を喫し、Vへのともしびが消えた。その3連戦で新井は落ちる変化球を巧みに使われ、11打数1安打と完ぺきに封じ込まれた。
この日は阿南のチェンジアップも仕留めてみせたからこそ「今までとは違うんじゃないかと思ってもらえたと思う」と力を込めた。関川打撃コーチも「去年と今年は打ち方も違うし、これを続けてくれれば」と背中を押す。開幕2週間を前に、宿敵に示した進化の形‐。Gキラーの復活が、開幕ダッシュの命運を握る。