福留、復活のろし!開幕頼んダ~ン
「オープン戦、阪神3‐7オリックス」(22日、京セラ)
ようやく目覚めた。阪神・福留孝介外野手(36)が22日、オリックス戦(京セラドーム)でオープン戦初本塁打を放った。紅白戦、練習試合を含めてこれが今年の実戦初アーチ。昨季は度重なる故障で打率・198、6本塁打、31打点に終わり、今オープン戦も低調だった男が、完全復活へ向けて、力強く一歩を踏み出した。
完ぺきにつかまえた。打った瞬間に行ったと分かる鋭い弾道‐。全盛期の福留をほうふつとさせるような打球が、京セラドームの右中間席に突き刺さった。復活にかけるベテランが見せた確かな兆し。それはオープン戦1号を含む2安打という結果以上に、内容が物語っている。
場面は七回、先頭で迎えた第3打席だった。マエストリが投じたカウント3‐1からの5球目、真ん中高めの直球をきれいに振り抜いた。「自分のタイミングで自分のスイングをすることだけ」と“無心”で放った一発。だが兆しはそれだけではない。
第1打席、バットの先で左飛に倒れたものの、しっかりとボールをつかまえていた。続く第2打席は修正して同じコースを三塁線にはじき返した。関川打撃コーチが「去年までだったらファウルになっていたかもしれない。でも今はしっかり下半身が使えているから」と評したように、左膝痛やふくらはぎ痛など下半身に不安を抱えた昨季は、払うようなスイングでポップフライ、ファウルフライが異常に多かった。
今年もキャンプ後からオープン戦で結果が出なかったときは、下半身に張りを抱えた状態だった。だが、この日は一塁まで全力疾走。オーバーランしての急ストップも問題なくこなし「体のことは気を使ってるし、その部分は不安なくやれる」と福留は確かな手応えを口にする。
オフから理想のスイングを追い求めた。「今年はまだマシ。ボールをつかまえられるようになってきた」。痛々しいほどの血マメを作りながらバットを振り込んだ。スイングを改善したという確信があっただけに、問題はそれを繰り出す土台。体さえ、足さえ万全なら‐。同じ過ちを繰り返すことはない。
和田監督も「ああいう打球が出たのが1番の収穫」と目を細めた。ただ本人は「打った、打たないで喜ぶのではなく反省もある」と冷静に現状を直視する。球界最高峰と呼ばれた左打者の復活‐。それが9年ぶりのリーグ制覇へ欠かせない要素だ。