西岡、福留と激突…グラウンドに救急車
「巨人12‐3阪神」(30日、東京ド)
阪神・西岡剛内野手(29)が二回の守備中に福留と交錯しグラウンドに倒れた。脳しんとうを起こし動かない背番号7に騒然となる球場内。救急車がグラウンドに入り、緊急搬送された。検査後、鼻骨骨折と胸部打撲、左肩鎖関節脱臼と診断されそのまま入院。和田阪神が開幕3戦目にして、主力を失う非常事態に見舞われた。
球場全体が静まりかえった。右翼線付近でピクリとも動かない西岡‐。すぐさまベンチからトレーナー、首脳陣が飛び出した。グラウンドの選手も倒れ込んだ西岡のもとへ駆け寄った。信じられないようなアクシデント。まさかの事態がチームリーダーを襲った。
二回、1点を先制されなおも2死一、二塁の場面だった。大竹が放った打球はフラフラと一塁後方へ上がった。追加点を許せない状況、二塁・西岡と右翼・福留が懸命に追う。猛スピードのまま2人は激突し、宙に舞い上がった西岡の体が、首から東京ドームの人工芝にたたきつけられた。
そのまま倒れ込み、立ち上がることすらできなかった2人。すぐさま担架が運び込まれたが、西岡は頭を強く打った可能性があり、運び出すことは困難と判断。徐々に手足を動かしてはいたが、グラウンドに救急車が乗り入れる異例の事態となった。スタンド全体が心配の表情で見守る中、25分後、都内の病院へ救急搬送された。
精密検査の結果は鼻骨骨折、胸部打撲、左肩鎖関節の軽い脱臼。ただ意識ははっきりしており、頸部(けいぶ)や頭部に異常はなかったという。脱臼に関しても打撲の範ちゅうで、選手生命を脅かす事態に至らなかったのは不幸中の幸いだ。
そのまま入院し、31日に再検査を受けて今後の動向を決める。黒田ヘッドコーチは「とにかく明日の検査結果を聞いてから」と登録抹消を含め、判断する方針を明かした。
西岡を失ったチームは宿敵・巨人に大敗。開幕カードに負け越し、西岡も離脱となれば痛恨の事態だが、和田監督は「(穴を埋めるのは)簡単なことではないけどいるメンバーでやるしかない」と語気を強めた。
救急搬送される直前、阪神ファンだけでなく巨人ファンからも西岡コールがわき起こった。敵味方の区別なく、ただ背番号7の無事を祈った。必ずグラウンドに帰ってくる。救急車に運び込まれる直前、西岡は声援に応えるように左腕を突き上げた。元気な姿で再びグラウンドに戻ってくることを、誰もが願っている。