鳥谷お目覚めマルチ安打 不振脱出へ
「阪神4‐3DeNA」(9日、甲子園)
この男が打てば得点への流れが生まれる。派手さはなくても、価値ある働きだった。阪神・鳥谷が先制点と決勝点を演出するマルチ安打。聖地初勝利へ導いた。
「これを続けられるようにしたい。いい時もあれば悪い時もある。辛抱強くやっていきたい」。口調は淡々としていたが、表情には勝利に貢献した安堵(ど)がにじんだ。
初回2死。尚成が投じた138キロの外角直球を逆らわずに逆方向へはじき返した。6日のヤクルト戦以来10打席ぶりの安打となる左中間二塁打。続くゴメスが四球を選んだ後、マートンの先制左前打へつながった。
同点の八回無死一塁は、2球目にエンドランに成功。長田の外角直球を捉え、二塁のベースカバーに入った遊撃・山崎の左を抜いて左前に運んだ。
3月28日の開幕・巨人戦以来となる今季2度目のマルチ安打。この一打で無死一、三塁とし、直後に相手のミスで決勝点が転がり込んだ。
3番が生んだリズムが得点に直結する。負傷で西岡を欠く打線にとっては理想の流れだ。和田監督は「鳥谷が打ちだすと、前後(の打者)の状態がいいのでいろいろなことができるので、点につながる」とうなずいた。
開幕後から状態を上げるために苦心してきた。開幕直前に背中の張りを訴え、オープン戦のラスト3試合を欠場。“ぶっつけ”でシーズンに臨んだ。調子は上がらず、8日終了時点で打率・195まで落ち込んだ。
8日の試合後は居残りで打ち込みを敢行。この日のティー打撃では真後ろなど複数方向からのトスを打ち、練習終盤は左翼の守備に就いて打球を追った。「へたくそなので練習するしかない。よくするためにいろいろやっている」。復調はもう目前。鳥谷がチームを波に乗せる。