呉昇桓、来日初星!劇勝呼び込む変化球
「阪神6‐5DeNA」(10日、甲子園)
11球で終えたマウンド後の劇的なサヨナラ勝ちは、決して偶然ではない。リリーフ陣が懸命につないだタスキを、落とすことなく勝利につなげた。阪神・呉昇桓は、わずかに示した「変化」とともに節目となる初白星もつかんだ。
「自分だけが抑えたのではない。前の投手が抑えてくれたので」
出番は6番手として同点の九回から。前夜は3点リードの九回に2点を失っていた。「(昨日は)点を与えてしまったので今日は(無失点に)抑える意識が強かった」。意気込みながらも、頭は冷静だった。
先頭のバルディリスへの初球は、代名詞でもある「石直球」ではなく外角へのカットボールでストライク。2球目の直球でファウルを取ると、3球目はカットボールで空を切らせた。続く荒波は2球目の直球で二飛に打ち取ったが、初球はカットボールだった。
続く井手には右前打を許したが、最後は金城を中飛に。全11球中、変化球を7球ほど投じたとみられるが、この投球がこの日の結果につながった一因に。練習では、福原に変化球の握りを積極的に聞いて参考にするなど、柔軟な姿勢も投球に生きている。
徐々に「日本流」になじんできた右腕。7日の休日には「水族館に行ったことがなかった」と大阪市内の海遊館に出掛け、「藤井さんに教えてもらった」と好物のすしを食べに出たという。チームにも溶け込み、さらにギアが上がっていくだけの下地は心身共に整いつつある。
11日からは開幕カードで負け越した巨人との3連戦。「やられたらやり返すではなく、自分の球をしっかり投げるだけです」。初勝利にも浮かれることはない。状態は上向き。本領発揮は、まだまだこれからだ。