良太、先制V弾 エースに有言実行打

 「阪神9‐0巨人」(12日、甲子園)

 エースにささげる豪弾だ。阪神の新井良が決勝の1号ソロを含む今季3度目の猛打賞。能見と上がったお立ち台。湧き起こる大歓声に自然と口元が緩んだ。

 「能見さんが今季3度目の登板で、僕が初めて(先発で)出たので、打ってやろうという気持ちは強かった」

 二回2死。内海の外角チェンジアップ。タイミングを崩されたが前に流れる体をこらえ、芯に乗せた。「たまたまだけど、うまく反応できた」。バックスクリーン左に飛び込む先制ソロ。チーム屈指のパンチ力を示す圧巻の一発となった。

 運もあった。四回2死一、二塁は内角直球に詰まらされたが、飛球は中堅から左翼へ吹く浜風に流されて左翼線へポトリ。巨人打線に挑む能見にとって、大きな後押しとなる適時二塁打となった。

 甲子園のクラブハウス。新井良は隣の隣に座る能見に一方的に言い続けてきた。「僕がいくときは絶対に打ちますから」。笑顔で応えるエースに、有言実行の活躍を見せた。

 一方で約束を果たせなかった人もいる。インフルエンザで離脱した高代内野守備走塁コーチの代役を務めた風岡2軍内野守備走塁コーチに対しても、高代コーチが戻るまでに一発を約束していた。

 しかし、わずかに遅かった。この日から2軍に戻った風岡コーチは「1日遅いよ」と苦笑いだったが、教え子の活躍を喜んだ。

 七回2死一塁は今村から左翼線二塁打。10日のDeNA戦以来の猛打賞となった。それでも浮かれた様子はない。「どんな時も自分らしさを忘れずにいきたい。監督からも『元気よくというのは忘れるな』と言われている。微力でもチームの勝利に貢献したい」。試合後の囲み取材で表情は崩さなかった。視線はすでに次戦に向いていた。

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