岩崎無念…ルーキー対決で屈し初黒星
「広島3-1阪神」(16日、マツダ)
阪神の連勝が6でストップし、一気に首位獲りとはいかなかった。ドラフト6位・岩崎優投手(22)=国士舘大=は6回3失点でプロ初黒星。広島のドラフト1位・大瀬良大地投手(22)=九州共立大=に2点適時打を許す悔しい結果となったが、プロ3戦目でも持ち前の粘りは見せた。
クールな左腕の表情がゆがんだ。1点ビハインドの五回。2死、三塁の場面でベンチは石原を歩かせ、投手・大瀬良との勝負を選択した。ここが正念場。だが、岩崎が投じたスライダーはわずかに甘く入った。打球は左翼線で、勢いよく弾む。大瀬良のプロ初安打となる二塁打でリードを3点に広げられた。
「ベストボールじゃなかったので悔しさが残ります」
和田監督も「もったいなかった。あの2点だな。あそこをしのげていれば」と振り返った痛恨の1球だった。
プロ3度目の先発。中西投手コーチが「制球が悪かったな。逆球も多かったし、ゾーンも高かった。いつもの感じではなかった」と指摘したように決して本調子ではなかった。それでも、6回を5安打3失点にまとめた。
三回には、うれしいプロ初安打を放った。144キロの直球にちょこんとバットを合わせると、白球は左前へ。清水東時代は通算9本塁打の実績を持つ。打った本人も驚いた様子で一塁へ走った。
この日、投げ合った広島のドラフト1位・大瀬良とは対照的な野球人生を歩んできた。大学日本代表のエースとして活躍した大瀬良に対して、ドラフト6位の岩崎は無名の存在だった。「1巡目で指名されるぐらいなのでいい投手だと思う」と岩崎。だが、プロに入ると順位は関係ない。安芸スタートの春季キャンプから、オープン戦と結果を積み重ね、開幕ローテ入り。プロ初勝利も岩崎が先だった。この日は敗れたが今後に期待を抱かせるフレッシュな投げ合いだった。
プロ初黒星の中にも収穫はあった。「今日はフォークを増やしたんですが、悪くなかった。プラスに捉えて、次に生かしていきたいです」。試合後は必ず投球をチェックする。打ち取った打球でも「なぜ、打ち損じたか」を分析する努力家だ。
指揮官は「岩崎は自分の投球をしようと必死に投げていた。十分、やっていけるんじゃないか」と評価した。敗れはしたが、ルーキーの粘投が色あせることはない。