「中日４-１０阪神」（２２日、ナゴド）

　一塁への送球は大きく逸れた。３点リードの七回、森野、和田の連続四球で招いた無死一、二塁のピンチ。堂上直の犠打を処理した阪神・藤浪がまさかの悪送球。二走の森野は一気に本塁に生還し、２点差に。ベンチはたまらず交代のコールを告げた。

　「１番集中しなあかんとこやろ。話にならん。独り相撲や」

　中西投手コーチはそう厳しく言い放った。藤浪も「打順が５番からだったので、抑えないといけない。七回は気持ちが入りすぎて、力んでしまいました」と反省の言葉を並べるしかなかった。

　大阪桐蔭の先輩平田に与えた死球が、投球のリズムを狂わせた。３点リードの四回だ。先頭平田への４球目。１５１キロ直球が左腕を直撃した。その場に倒れ込んだ平田は怒声を発してマウンドの藤浪をにらみつけた。

　「勝負事なので。申し訳ないですけど」

　制球に苦しみながらも粘り強く投げ続けたが、あの１球から内角球は減少した。自己ワーストの６四死球。今季２勝目はスルリと逃げた。

　１日の中日戦、８日のＤｅＮＡ戦に続いて試合終盤の１００球の壁に阻まれた。「毎回あのイニングやな。自分でクリアしないと。いつまでもリリーフに頼っていたらあかん」と中西コーチ。先発ローテの柱として、これ以上同じ失敗を繰り返すわけにはいかない。