ゴメス球団新!開幕22戦連続出塁
「中日4-10阪神」(22日、ナゴド)
強烈な衝撃音がナゴヤドームに響いた。かつて鬼門と呼ばれた場所でも阪神・ゴメスの打棒は止まらなかった。火の出るような弾丸ライナーでバックスクリーン左に突き刺した一撃。美しい放物線などと表現できるレベルではない。開幕から22試合連続出塁で虎の歴史に名を刻んだ男のパワーは、格が違いすぎる。
「完ぺきに捉えられたと思ったよ」と自画自賛した一撃は1点差に迫られた直後の三回だった。1死から鳥谷が中前打で出塁。走者を置き、ゆっくりと第2打席に向かったゴメスは最高の獲物を見逃さなかった。
谷繁の内角要求に反してど真ん中に入ってきた136キロの変化球。これを完ぺきに仕留めると、ごう音を奏でた打球があっという間に中堅左へ。反撃ののろしを上げた中日の意気を消沈させる3号2ラン。和田監督も「きょうはあの一発が大きかった。1点差に迫られた直後だったからね」と称賛を惜しまなかった。
これで1989年のフィルダーを抜き、阪神の来日1年目の外国人選手では、史上最長となる開幕から22試合連続出塁。「そういう記録をつくれたことはうれしいけど、明日もプレーをしなきゃいけないから」と自ら終着点を見いだすことは絶対にない。
幼少期、ドミニカの原っぱから野球人生は始まった。そこでテキサス・レンジャーズ・スクールのテストを受けた。ここで落第すれば食事もままならない母国の現状。逆に合格すれば小学生の年齢で給料を手にし、アメリカへ渡るチャンスを手にできる。
「そんな環境だからハングリー精神が違う。日本人の子供は絶対に無理」と関係者が語る厳しい環境で生存競争を勝ち抜いてきたゴメス。今は日本で生き抜くために‐。懸命に“野球”へ順応する姿があるからこそ、歴史は塗り替えられた。