今成タイムリー2本!三塁争い再燃
「ヤクルト5-2阪神」(3日、神宮)
阪神打線は、ヤクルト投手陣を打ちあぐね、6安打2得点に抑えられた。その中で光ったのが、今成亮太捕手(26)。七回に、一時は同点とする左翼適時二塁打を放つと、九回にも中前適時打。意地を見せた。
バレンティンが帽子を吹っ飛ばして、突進してきた。落ちろ!今成はそう念じて、全力で一塁を蹴った。飛球が左翼手前にポトリと落ちる。二塁に滑り込んだ背番号49が、派手に右拳を突き上げた。
「能見さんが辛抱強く投げていたし、早く追いつきたいと思っていた。パピー(ゴメス)が三塁打で出てくれたし、何とかかえそうという気持ちだった」
1点を追うラッキー7。先頭ゴメスがヘッドスライディングで三塁を奪うと一気に逆襲の機運が高まった。続くマートンが浅い右飛で凡退したが、満員スタンドのため息もつかの間。今成が好機をモノにした。外角低めのフォークに左手一本でバットを合わせる技ありの同点打で、試合を振り出しに戻した。
八回に能見がつかまり4点を失ったが、九回2死から再び今成がファイティングポーズ。この日2本目の適時打を中前にはじき返し、敗色ムードを一瞬だけ盛り返した。「間隔は開いていたけど、結果を出そうと思っていた」。4月22日の中日戦以来の3安打固め打ちで、新井良との三塁レギュラー争いを再燃させた。
今春のキャンプ、オープン戦でヒットメーカー誕生の予感を漂わせ、開幕スタメンを勝ち取った。数字を見れば、絶好調。その一方で、本人はずっと首をかしげていた。
「全く納得がいってなかった。ヒットは出ていたけど、根拠がなかった」。開幕2カード目の中日戦(京セラドーム)。試合前のフリー打撃で左翼フェンス直撃の打球を放ち、「これなんですよ。これが続かないと、好調とは言えない」。逆方向へフルスイングする感覚が戻れば…。ずっと、そう感じていた。
「明日からまた新しい気持ちでやっていきたい」。今成の「本領」は、まだ先にある。