マートン バース超え744安打
「阪神4‐1DeNA」(18日、甲子園)
偉大なる先人を追い越した。阪神の球譜に刻んだ新たな1ページ。今もなお、伝説の助っ人として語り継がれるバースを超えた。聖地に映える背番号9。来日通算744安打目。マートンが伝説を塗り替えた。
節目の一打は八回に輝きを帯びた。1死一塁。1ボールからの148キロ直球。会心の当たりではなかったが、巧みなバットコントロールで遊撃・白崎のグラブをかすめた。スタンドに揺れる応援ボード。代打・新井良のダメ押し2点打を導く礎となった。
バース、フィルダー、オマリー…。タテジマの助っ人系譜図に並ぶ面々と比較しても遜色のない数字。バースを1年上回るスピードで、球団助っ人史上最多安打を更新した。
「今日は勝ったことが一番。記録?それよりも、とにかくチームが勝てたことが一番だよ」。チャンピオンフラッグを奪うために海を渡ってきた。いくら自分が打っても、チームが勝たなければ価値は半減する。フォア・ザ・チームの精神が言葉と表情ににじみ出た。
マートンの技術と集中力の高さを裏付ける証言がある。「ゾーンに入った時のマートンは手が付けられない。打ち損じを待つしかない時がある。どんな配球でも読まれてるって感じがするもん」。幾多の修羅場をくぐり抜けた中日・谷繁兼任監督をして、抑えるすべを見つけられない場面があるほど、安打製造機のスキルはとてつもなく高い。
ただ、これで終わりじゃない。戦いが続く限り、マートンは全力を尽くし、白星に近づく安打を放ち続ける。ユニホームを脱ぎ、数多くの年を重ねても語り継がれる。マートン、偉大なり‐。