藤浪、新投法で勝った!壁超え8回0封
「交流戦、阪神2-0ロッテ」(27日、甲子園)
これぞ未来の虎エースや!阪神の藤浪晋太郎投手(20)が交流戦無敗のロッテ打線をMAX155キロの快速球で圧倒。剛速球で三振を奪いピンチを脱する姿に虎ファンはしびれた。8回無失点。プロ最短2回KOから1週間、成長した右腕が4月30日以来の3勝目を挙げた。
マイクを握り、声を張り上げた。「これからも必死のパッチで頑張ります!」。今年初めてのお立ち台。お決まりのフレーズで沸かせた。苦悩の日々を乗り越えた藤浪がようやく心の底から笑った。
左足を引き、フーッと息をつく。それからゆったりと左足を上げ、体に巻き付けるように右腕をしならせた。先発ローテ生き残りへ、導き出した答えは、セットポジションからノーワインドアップへの変更だった。
「この前、セットで良くなかったので自分のフィーリングというか、勢いとリズムをつくる意味でもノーワインドアップでいこうと思いました」
序盤は1軍自己最速タイの155キロ直球を軸に力でねじ伏せた。中盤以降は緩い変化球を織り交ぜて、ストライク先行の投球でリズムをつくった。球数が100球に達した2点リードの七回。2死二、三塁で代打・ブラゼルを迎えた。「ここ一番の勝負どころで三振を取るのは自分の持ち味でもある」。150キロ超えの直球で、3球勝負。最後は高めの釣り球で誘った。三塁塁審にスイングをアピールし飛び跳ねるように右拳を握った。
前回20日のオリックス戦はプロ最短2回6失点でKO。試合後、中西投手コーチから「最後通告」を突きつけられ、この1週間は休みなしで投球フォームを再チェックした。練習では入念にキャッチボールを繰り返し自分の「感覚」を呼び起こした。
「落とされたらそこまで。それくらい情けないピッチングが続いていたので」
能見をはじめ周囲からは「思い切っていけ」と声をかけられ、中西コーチからは「そんな簡単に(2軍に)逃がさんぞ」と厳しいゲキを飛ばされた。ファームに落ちたらローテの責任から逃れられる。だが、今年は先発3本柱の一角だ。崖っぷちの立場も、プロ初のスライド登板も、自分の力で乗り越えるしかなかった。
8回3安打無失点で3勝目。プロ初完封はお預けになったが「次の登板以降、完封を目指せるように頑張りたいです」と約束した。プロ2年目シーズン。立ちはだかる壁に挑み打ち勝っていく。