鳥谷、聖地で決めたプロ通算1500安打
「交流戦、阪神2‐13西武」(29日、甲子園)
阪神の鳥谷敬内野手(32)が29日、西武(2)戦でプロ通算1500安打を達成した。プロ11年目。この日は初回の中前打で王手をかけ、五回に左前打を放った。阪神選手として1500安打到達は球団史上8人目。鳥谷は七回と九回にも右前打を放ったが、チームは大敗。試合後は厳しい表情だった。
黒土で跳ねた白球が三遊間を破る。阪神を支える大黒柱にまた一つ、勲章が加わった。鳥谷が通算1500本安打を達成。目を覆いたくなるような逆転負けの中、ファンにとっては数少ない希望となった。
「その時、その時の仕事をしているだけで、積み重ねだと思う。1打席に1本しか打てないので、そういう意味ではこれからも初心を忘れずにやっていきたい」
残り2本で臨み、初回1死一塁で右前打を放って王手をかけると、第3打席であっさりと記録を達成した。
五回2死、フルカウントからの7球目。菊池の外角への143キロを逆らわずに逆方向に打ち返し、ゴロを左前に運んだ。プロ11年目、通算1453試合目で迎えた節目。一塁上で花束を受け取ると、万雷の拍手の中、スタンドへ頭を下げた。
和田監督は「ショートで、ほとんど出続けての1500本だからね。トリにとっては単なる通過点にすぎないね」。守備での負担が大きいポジションでの快挙を祝福しつつ、さらなる飛躍を願った。
鳥谷の代名詞と言えばウエート。日本代表に選ばれた昨年の第3回WBCでは米国移動後に大半が時差ぼけに苦しむ中、一人だけウエートに励み、他球団の選手らを驚かせるなど高い意識は有名だ。
この姿勢は早大時代から変わらない。友人にポリシーを熱く語ることもある。「5年先、10年先を意識してやっている。その日、その年にベストを合わせるという考え方もある。でも、それじゃあ先につながらない」。1374試合連続出場を続ける中でも自らを律し、先を見据えて追い込む。鉄人としての礎を築きつつ、安打を積み重ねてきた。
七回と九回にも右前打を放って、今季3度目の4安打をマーク。「(内容は)ヒットになっているのでいいと思う」。交流戦は8試合で、猛打賞3度を含む5度のマルチ安打を記録。屈辱的な大敗を喫したものの、奮闘する主将の姿は際立っていた。