4番ゴメス、連敗止めた満塁一掃打

 「交流戦、日本ハム1‐4阪神」(1日、札幌ド)

 これぞ4番の仕事だ。阪神のマウロ・ゴメス内野手(29)が三回、1点を先制しなお1死満塁から、右中間へ走者一掃の二塁打を放った。チーム全体で3安打に抑えられたが、その1本がここぞの場面で出た。連敗は3でストップ。6月は白星スタート。月が替わって、ツキも変わる予感だ。

 ゴメスは笑っていた。しばらく白い歯が消えなかった。オー・マイ・ゴッド!とでも言いたげな表情で…。

 「今までに経験がないよ」。3点リードの八回、先頭。4球目に計測不能のスローボールが、大きな弧を描いて落ちてきた。多田野の「おはこ」に面食らったが、それでも「ステイバックして、低めにきたら打とうと思ったよ」と、試合後はマジ顔で振り返った。

 終盤にそんな球場を和ます「劇場」があった。遅球の後の速球で三ゴロに倒れたが、札幌のファンは拍手を送ってくれた。凡退で笑っても、許される。だって、ゴメスは「本日の主役」だったから。

 待ちに待った一打が生まれた。スコアレスの三回、1死満塁から鳥谷の押し出し四球で均衡を破ると、4番のバットが噴火した。追い込まれてから外のスライダーをファウルで逃れると、続く外低めの直球に腕を伸ばした。逆方向へ伸びたライナーが大谷、陽岱鋼の右中間を真っ二つ。走者一掃の二塁打で、両手を天井にかざした。

 「打てる球を打とうと思っていたんだ。低めだったけど、腕が伸びるところにきたので打てたよ」。前夜は3三振で好機を逃した。雪辱を期した2戦目も二回の第1打席は三振を喫していた。追い込んで沈む変化球‐。他球団に浸透するゴメス粉砕のレシピに、ことごとくバットが空を切った。

 大振りの目立つスイングの矯正で試合前の練習はいつも以上に右方向へ打球を集めた。「5月は引っ張る気持ちが強すぎたね。ああいう打球が出ると、戻ってくるんじゃないかな」。和田監督は4番の再浮上を予感した。

 柔らかく、しなやかに。ゴメスには理想の打撃がある。憧れの打者を問われると迷わず「マニー・ラミレス」と答える。現在米大リーグ・カブス傘下で選手兼任コーチとして現役を続ける42歳。母国ドミニカが生んだ英雄だ。「あのゆったりとしたフォームが大好きなんだ」。レッドソックス時代の04年にワールドシリーズMVPにも輝いた母国のレジェンドは、永遠の「お手本」だという。

 日本投手の多彩な軌道に苦心しながら、対策を怠らない。真面目で努力家。チームメートの評価は定着した。「きれいで、いい街だよ」。お気に入りの札幌で、勤勉家がまた一回り成長した。

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