呉昇桓、汚名返上のリーグトップ14S
「交流戦、日本ハム1‐4阪神」(1日、札幌ド)
振りかぶっただけで印象はガラリと変わった。普段はスマートなノビを見せる石直球が、荒々しく四隅に散らばった。九回、勢いよく日本ハムの中軸を3人で牛耳った阪神・呉昇桓。前回、5月28日の西武戦、1点リードの九回に登板したが、3失点。初の救援失敗を喫しただけに「失敗しないことだけ考えた」と充実の汗をぬぐう。
この日はノーワインドアップからワインドアップへフォームを変えた。「韓国時代もその時、その時の気分によって変えていた」と前日のブルペンからひそかに試していた。先頭の中田を151キロのストレートで空振り三振に仕留めると、続くミランダも石直球で浅い左飛にねじ伏せた。
2死から大引は最速152キロのうなる直球をファウルするのがやっと。最後は外角のカットボールであっさり空振り三振に仕留め、試合を締めた。
リーグトップの14セーブ目で、前回登板の汚名を返上した守護神。韓国時代から記憶にとどめるのは、抑えた試合ではなく失敗したゲームだという。
「引きずるのではなく、しっかり反省して次につなげるため」。技術、メンタル、コンディション、すべてを検証して次のマウンドでリベンジを果たす‐。札幌への移動日には大好物のすしを食べて心を吹っ切った右腕が、変わらぬ安定感を示した。