鳥谷V打&トドメ弾!主将が4打点
「交流戦、楽天1‐9阪神」(4日、コボスタ)
打席でのたたずまいが明らかに違っていた。力を抜き、ピクリとも動かずに見極める阪神・鳥谷の姿が、着実に相手を追い詰めた。そんな“無言の重圧”に耐えきれず、浮いたボールを一振りで仕留めた主将。前夜の嫌な敗戦を今季最多となる4打点で吹き飛ばした。
価値ある一打が飛び出したのは二回。同点に追いつきなおも、2死満塁の場面だった。「良い場面だったので積極的に。走者もたまっていたんで」とベテラン左腕の川井が振らせようとするボールに、一切手を出さなかった。バットを振ることなくカウント3‐1と追い詰めた5球目、真ん中高めに浮いた直球をとらえた。
打球は一、二塁間を破る勝ち越しの右前2点打。これで試合の主導権を一気に奪うと、六回には1死二塁から宮川が2ボールから投じた甘い直球を左翼席にたたき込んだ。
試合を決定づける3号2ラン。向かい風にも負けない逆方向への強い打球は、今季最高の一打と言っても過言ではない。本人は「たまたまです」と謙そんしたが、「一時期、悪くなったときもあったけど、それをしっかり修正してくれている。だからこの数字が残せる」と関川打撃コーチは目を細める。
5月上旬、蓄積疲労から来たと見られる体のハリで打率が急降下した。そんな状況下でも黙ってマシンと向き合い、結果を出すスイング、ポイントを探っていた。4年に渡って継続しているフルイニング出場。どんなに体の状態が厳しくても、結果を出せる修正能力は、鳥谷だけが持つ最高峰の技術だ。
「自分のスタイルを崩さずにやってきた。状態が良ければこれぐらいの結果が出せる」と称賛を惜しまない和田監督。打席で圧倒的な雰囲気を漂わせる鳥谷がいれば、必ず上昇気流はやってくる。