緒方、2年目のプロ1号!連敗の中で光

 「交流戦、阪神1‐4オリックス」(7日、甲子園)

 将来に希望をともす記念弾だ。阪神の緒方凌介外野手(23)が五回1死走者なしから、右中間席へプロ初本塁打を放った。これが同時に入団2年目でのプロ初打点となった。だがチームはこの1点のみで、甲子園で4連敗。甲子園でのオリックス戦に限ると一昨年から5連敗となった。

 無我夢中だった。二塁ベースの手前まで全力疾走。「いい感触だったけど、まさかいくとは思わなかった」。緒方は審判が手を回すのを確認するとようやく速度を緩め、大歓声を味わいながらベースを一周した。プロ初本塁打。甲子園4連敗となった一戦で、9番打者が存在感を示した。

 五回1死。東明の真ん中高めの140キロを振り抜いた。低い弾道の打球は右中間へ伸びると、ギリギリでフェンスを越えた。「球を見てスイングできているので、しっかり振った結果がああなったと思う」。プロ2年目。通算44打席目での1号ソロで、プロ初打点も記録した。

 5月13日・広島戦(米子)のプロ初安打のボールは、母・利恵子さんに母の日のプレゼントとして贈った。6月15日は父の日。この日の記念球は手元に戻ってきていないが、戻りしだい父・裕士さんに贈る。

 身長176センチ。プロでは小柄でも、秘めた能力は計り知れない。東洋大では4年時に右膝前十字じん帯を損傷して手術を受けた。ただ、ケガをするまでは、主軸を任せられるドラフト1位候補として調査を球団があったほど。和田監督が「体は小さいけど小力がある」と話すように、パンチ力は高い。

 5月13日の広島戦でのプロ初先発から好調を維持し、打率・333。和田監督は「ある程度、ボールの見極めができている。いやらしい打者になりつつある。打席での雰囲気がある。まだ勉強しないといけないけど、面白い打者だね」と可能性を感じ取っている。

 福留、大和、俊介…。右翼、中堅にはライバルが多い。それでも先輩に遠慮していては生き残れない。「今は全てがいい経験。結果を積み重ねポジションを取れるようやっていきたい」。伸び盛りの23歳。手に残った感触を自信に変え、定位置をつかみ取る。

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