虎新人捕手・梅ちゃん、満塁一掃打
「交流戦、阪神14‐8ソフトバンク」(8日、甲子園)
その道は決して平たんではない。1つの収穫に喜び、悔恨の念にかられた。その中で阪神のドラフト4位新人・梅野(福岡大)は、正捕手という場所へ少しずつ歩みを進めている。
まずは持ち味の打撃で、満場の虎党を魅了した。1点を追う初回だ。鳥谷の逆転2ランなどで4点を挙げ、なお1死満塁で梅野に打席が巡ってきた。
カウント1‐2からソフトバンク先発オセゲラのチェンジアップを捉えた打球が、左中間を割った。走者一掃となるプロ初三塁打。これには「追い込まれながら対応できたのは、1つ収穫です」と手応えを感じていた。
計9点を奪う猛攻。初回で勝負は決した。そう思ったファンも少なくはない。だが、ここから試練が訪れる。三回には先発・榎田が先頭への四球をきっかけに乱れ、相手に5点を献上してしまう。
「一番やってはいけないところで、ビッグイニングをつくられた。1、2点で止めていれば点差を考えながらできたんですが…。1点の重みを知りました」
試合の行方は混沌(こんとん)とし、一時は3点差に迫られる。三回は追加点の起点となる中越え二塁打も放つが「中盤はどうなるかと思った」と正直な心境を吐露。そして七回の守備からは、清水にマスクを譲った。
これで6試合連続の先発出場。その間の戦績は3勝3敗。それでも送り出すのは大きな期待の表れだ。和田監督は「こういう試合は悔しいと思う。いい捕手になるための道筋。たくさん勉強してほしい」と言い切った。
強力ソフトバンク打線との対戦は続く。「どんどん攻めていかないと、逃げ逃げでは見極められる。明日もそれを踏まえてやりたい」と梅野。試練は明日への糧。今日よりも成長した姿で聖地に立つ。その道の先に、正捕手の座はある。