ゴメス攻守に精彩欠く…虎正念場貯金1
「交流戦、ロッテ8‐3阪神」(11日、QVC)
千葉の雨に主砲が湿った。阪神のマウロ・ゴメス内野手(29)が攻守で精彩を欠いた。二回の守備でまさかのトンネルで適時失策。打撃では四回、六回と得点圏に走者を置いて凡退とブレーキ。八回にようやく2点適時打を放つが遅すぎた。連敗でついに貯金は1。4位・中日とはまたも1ゲーム差。ここが正念場や!
ゴメスがぬかるんだ打席にヘルメットをたたきつけた。4点を追う六回2死二塁。内角にストンと落ちる変化球にバットが空を切ると、言葉にならない感情を用具にぶつけた。
「打てる球を打てなかった自分に対して、いら立ってしまった。それだけだよ」。試合後は努めて冷静に振る舞ったが、ストレスを残した表情で来日初の激情を振り返った。
打線は藤岡にほぼ完ぺきに封じ込まれた。昨季まで9回1得点と苦にした左腕に今季も前回対戦(5月25日、甲子園)で勝ち星を献上していた。雪辱を期したこの日も7回を0行進。4番も「虎キラー」を攻略できず、ホームが遠かった。「甲子園のときもそうだったけど、内角の速球と変化球で緩急をつけられたよ」と、大きな背中を丸めて脱帽した。
それでも、藤岡から代わった益田を八回に攻め、1死満塁から中堅左へ2点適時打を放った。マートンも適時打でつないだが、3点止まり、反撃が遅すぎた。ミスを取り返したかったのかと問われると、神妙な面持ちでうなずいた。
「捕りにいくつもりでいったけど…。完全に自分のミス」。二回に藤浪の足を引っ張る手痛いエラーを犯していた。2死二塁から根元の当たりは平凡な一塁ゴロ。真正面に転がったが、これをミットに当てながら、まさかのトンネル。右前に転がる間に、先取点を許した。
試合前から降り続いた大雨の影響で人工芝とアンツーカーは大量の水を含み、わずかにバウンドが変わったかもしれない。それでも、前にはじいていれば問題はなかった。高代内野守備走塁コーチは「グラウンド状態は最悪だったよ。でも、雨で人工芝がスピンするのはきょうだけじゃない」と、苦言を呈した。
「結果的に遅かったけど、得点圏でああいうヒットが出ると、状態は戻ってくるだろう」。和田監督は4番に変わらぬ期待を寄せた。挽回を期す第4ラウンドは、幕張の風を味方につける。