良太で大逆転!貯金消滅の危機救った
「交流戦、ロッテ7‐8阪神」(12日、QVC)
取られたら、何度でも取り返す。和田虎が2度の逆転の末、野球で一番面白いと言われるスコア、8‐7の「ルーズヴェルト・ゲーム」でロッテに打ち勝った。負ければ貯金0、交流戦の勝ち越しもなくなる一戦。2点ビハインドの八回2死満塁で、代打の阪神・新井良太内野手(30)が走者一掃の二塁打を放ち試合を決めた。
やはり、幕張の風は新井良にほほ笑んだ。シーソーゲームのドラマは2点劣勢の八回にやってきた。プレーボールから3時間40分、ベンチで牙を研いでいた満塁男が、満を持して代打に向かった。
2死満塁。もう、待ちきれない。松永の初球、外角の速球に腕を伸ばすとライナー性の弾道が中堅右へ。飛びついた岡田のグラブに収まったかに見えた白球が、こぼれ落ちた。1人、2人…一塁走者の上本も転がるように本塁へかえってきた。走者一掃の逆転二塁打で8‐7。殊勲者は一瞬間を置いて塁上で手をたたき、喜びをかみしめた。
「いつもだったら、よし、いったろう!と空回りするところ。きょうは、やばい、やばい、どうしようという感じだった。でも、そのほうが力まずいけたから良かった。岡田くんの守備はめちゃうまいので、落ちてくれ!と思っていた。大声援で落ちたと思う」
初回に3点を先取されたが、ゴメスの3ランで五回に逆転した。七回に再逆転を許し、万事休すの感が漂ったが、阪神ベンチには、切り札が残っていた。
「打って貢献するしかない。貢献できるなら、僕はどこでも守る。シーズンはまだ先がある」。昨秋キャンプから今成と三塁の定位置を争ってきた。開幕スタメンを譲ったものの打撃は上昇気流を描いた。レギュラーを手中に収めかけたが、そこからは簡単ではなかった。交流戦に入り、三塁は兄の貴浩が守るようになった。
「僕はまだ力がないのでベンチスタート。出たところで結果を出せるように、準備をしていた」。殊勝なヒーローコメントに観客席は沸いたが、実はここ千葉は新井良の「庭」。なぜ「幕張男」を温存するのか。そう言いたくもなる好相性の数字が並んでいた。QVCで21打数9安打1本塁打、9打点。打率は・429。さらに満塁にも強く、今季ベースがすべて埋まれば8打数4安打、10打点。背番号32が恵方でその威力を存分に発揮した。打つべき男が3時間59分の激闘を制した。