メッセ内弁慶返上 今季初ビジター星
「交流戦、西武1-8阪神」(15日、西武ド)
満面の笑みでナインを出迎えた。大きな目を見開いてハイタッチを交わす。階段を上る足取りも軽い。今季ビジターで初勝利を飾った阪神・メッセンジャーは「ヒットも打ったし、最高の気分だよ。今日は低めにボールを集められて良かった。いいピッチングができてうれしい」と声を弾ませた。
ピンチを最少失点で切り抜けた。1点リードの三回、1死満塁から栗山に押し出し四球を与えると、マウンド後方で深呼吸。集中力を高めた。「満塁で押し出しはイライラするけど、その後、気持ちを切り替えられた」
4番・中村を高めの149キロ直球で空振り三振に仕留め、続くメヒアはフォークで連続三振を奪った。「1点に抑えたのが大きかった」と和田監督もたたえた粘りの投球。自分への怒りをグッとこらえ、自身の交流戦今季初勝利を引き寄せた。
五回の打席では左翼フェンスを直撃する会心の安打を放ち、「もうちょっとでホームランだったね」と歯を見せて悔しがった。8回1失点。13奪三振は自己最多。三振数はリーグトップに立った。
「父の日」に自ら花を添えた。試合前には子どもたちから祝福の電話があったという。「ハッピーファザーズデーと言ってくれた。今回は遠征だから、まだもらってないけど、いつもはアメリカンキャンディーをくれるんだ」とプレゼントを心待ちにした。
ファンへの感謝も忘れない。1カ月以上白星から遠ざかり、ストレスがたまる日々を過ごしていたが、前日14日の練習後は1時間近くファンにサインした。「ファンあってのプロ野球。大切にするのは当たり前のことさ」とリラックスモードで、この日を迎えた。
敵地未勝利の呪縛から解き放たれた右腕は今後もローテの軸。5勝6敗と1つ黒星が先行するが信頼は揺るがない。家族とファンのため剛腕を振り続ける。