マートン決めた!サヨナラで2位浮上!
「交流戦、阪神4‐3日本ハム」(17日、甲子園)
もうアカン、と思った瞬間の激勝だ。阪神は引き分け目前の延長十二回2死一、二塁から、マット・マートン外野手(32)が中越え適時二塁打を放って今季3度目のサヨナラ勝ち。5月17、18日(DeNA戦)以来で交流戦初となる連勝を飾り、リーグ2位に浮上した。マートンは自身4度目、すべて交流戦でのサヨナラ打となった。
聖地に降りだした雨が負の流れをすべて洗い流した。天から落ちてくる歓喜のシャワーを浴び、左腕を突き上げて何かを叫んだマートン。4時間46分の総力戦、延長十二回2死までもつれたゲームに終止符を打つ一打。ボールが中堅フェンスの手前で弾んだ瞬間、劇的なサヨナラで和田阪神に交流戦初の連勝が舞い込んだ。
場面は延長十二回だった。2死から鳥谷が四球を選んで出塁した。新井良が詰まりながらも左前へ落としてつないだ。2死一、二塁で第6打席を迎えたマートン。延長十回に同じ状況で塁が詰まっていながら、敬遠で歩かされていた。
それでも「自分としてはこういう状況が好き。何とか楽しもうと思って打席に入った」。邪念を捨て、気持ちを高ぶらせて待った初球。カーターが投じた外角スライダーに体が自然と反応した。「直球にタイミングを合わせてうまくとらえられた」。打球はグングン伸びて前進守備を敷いていた中堅・村田の頭上を越えていった。
すべて交流戦でマークした4度目のサヨナラ打。それは思い出の対決と無縁ではない。来日1年目の2010年、札幌で当時・日本ハムに在籍したダルビッシュと対した。日本を代表するエースを「クレメンスみたい」とマートンは高揚感を隠さなかった。
あれから4年。今年、メジャーのマウンドでノーヒットノーランを達成しそうになった右腕の姿をテレビ越しに見つめた。そして「彼も向こうに行って成長したと思うし、自分も日本に来て成長できた。異国の違う環境に適応しようとするから成長できる。だから日本に来て良かった」と心境を明かした。
打者としてのレベルが上がらなければ、カーターのスライダーに対応できなかったかもしれない。呉昇桓の背信を消し去り、藤浪、中継ぎ陣の奮闘に報いる一打は出なかったかもしれない。
「最後に一番、良い打者に回った。よく打ってくれた」と称賛を惜しまなかった和田監督。「勝って家に帰りたかった」と笑った助っ人の進化は、来日5年目を迎えても止まらない。