良太抹消 西岡、福留が1軍合流へ
虎首脳陣が大きな決断を下した。阪神・黒田正宏ヘッドコーチ(66)は25日、西岡剛内野手(29)、福留孝介外野手(37)の26日からの1軍合流を明言。西岡を三塁で起用することに伴い、この日、新井良太内野手(30)の出場選手登録を抹消した。熟慮の末の布陣で、リーグ戦再開後の巻き返しを図る構えだ。
このまま退くわけにはいかない。首位巨人に5・5差と離され、4位・中日は1差に迫る。交流戦を低調な成績で終えた猛虎の局面打開の切り札が、西岡と福留の復帰だ。
この日、両者が出場したウエスタン・オリックス戦(鳴尾浜)を視察した黒田ヘッドは「(西岡は)明日、合流させるよ。やるべきことはやった。福留?上向いてきている。だから上げるんだ」と26日の全体練習で1軍に合流すると明言した。
左右の肋骨(ろっこつ)骨折などの重傷で長期離脱となった西岡。その勝負強い打撃、存在感は巻き返しに不可欠。打撃不振の福留も、緒方ら若手を上回る経験値と高い守備力は大きな戦力となる。
ただ、この復帰劇のためには、もう一手が必要となる。それが新井良の出場選手登録抹消だ。
西岡離脱中は上本が二塁に定着。両者を生かすため和田監督が「それ(三塁)も含めて準備してくれている」と、西岡は2軍戦で三塁手として出場を続けた。今後は三塁・西岡、二塁・上本の新布陣で臨む見込みだ。
その三塁は開幕から新井良と今成を併用してきた。だが、新井良は調子が下降線となった交流戦で先発出場がわずかに4試合。そのポジションを兄・貴浩に譲る機会が増えた。
外野もこなす今成。交流戦後は指名打者がなくなり再び新井が代打へ回るため、右の代打枠も埋まる。その状況下で打率・292、6本塁打を残しながら新井良を2軍降格せざるを得ないのは、苦渋の決断でもあった。
それでも指揮官が「文字通りゼロからのスタート」と位置づけるリーグ戦再開後は、新しい風を吹き込まなければならないのも事実だ。同時に黒田ヘッドが「打席に立たせないといけない」と話すように、2軍戦で多くの打席に立つことで新井良を復調させ、この先に備える狙いもある。
前日の全体練習前、和田監督は円陣での訓示で「もう一回、開幕のつもりで頑張ろう」とゲキを飛ばした。2度目の開幕。新布陣が奏功するか否かが、猛虎の命運を握っている。