関本が救った!代打で同点タイムリー
「阪神2‐2中日」(27日、甲子園)
阪神・関本は大粒の汗をぬぐいながら、いたずらっぽく笑った。「あんなにいいところに飛んでくれて…。ほんま、ついてたわ」。新しい「代打の神様」が、負けられない戦いで本領を発揮した。
これぞ真骨頂、というゴロだった。1点を追う延長十回、1死二塁。代打に指名された背番号3がアウトローの148キロを狙い澄ましたように一、二塁間に転がした。二塁走者の田上が本塁へ同点のスライディング。殊勲者は“おとり”の走塁で一塁を蹴って挟殺されたが、観客席の大歓声は鳴りやまなかった。
「タイミングは合っていたけど、球が速いし、前へなかなか飛ばへんから…。もう、気持ちで打ったとしか言いようがないわ」。対峙(たいじ)した福谷は初球から150キロの速球…すべて直球勝負で挑まれ、ファウルで逃れるのがやっとだった。それでも、ここぞで仕留めるのが「神様」たるゆえんだろう。
試合前の打撃練習でティースタンドを内角の高めに設置してボールをたたく。それも2メートルほど距離を置き、2歩、歩いてたたく。ゆっくりと、入念にこの動作を繰り返す。なぜ、内角高めなのか。本人は多くを語らないが、外は打てる‐自信がある。なぜ、歩いて打つのか。持ち場で相対するのは抑え投手。クローザーの力のあるインハイをどうさばくか。「間」を大事にするために、ティースタンドと距離を置くのだ。
今季の代打打率は・294。肩口でバットを寝かせる新打法で最短距離でボールをとらえ、結果が数字になって表れてきている。
「しっかりと勝負強さを見せてくれた」。送り出した和田監督も最敬礼する関本の技。負けられない戦いで、追いついた価値は計り知れない。関本のおかげ‐で負けなかった。