「阪神１‐２中日」（２８日、甲子園）

　好機での打撃こそ４番の真骨頂だ。低調にあえぐ打線。４月９日以来の借金を抱えたチーム。その中で阪神・ゴメスの一打がひととき、虎党の留飲を下げた。

　１点を追う六回１死三塁で打席を迎えると、先発・山井が投じた２球目のシュートを左前へ運ぶ同点適時打。「外野フライでも１点が入ると考えて、リラックスして打ちにいけたよ」。フラストレーションをためていた場内から、大きな声援が降り注いだ。

　ただ猛虎打線が挙げた得点は、この１点のみだ。「（山井は）内外角を丁寧に投げ分けられた。スライダー、フォーク、どの球種も打ちづらかったし、いい投球をされた」とゴメス。終盤に勝ち越し点を奪われ、痛い敗戦を喫してしまった。

　これで３試合連続適時打、２試合連続で六回に同点打。不調にあえぐ打線において、ゴメスは唯一の光。それでも４番の仕事はチームを勝利に導くこと。自身の活躍にも「勝たないと意味はないですね」と悔しさをにじませた。

　そして前を見据える。「（シーズンを）しっかりいい形で終われるように頑張りたい。いいときも悪いときもある。１日１日を大事に戦うだけ」。次こそ、自らの打撃でチームを勝利へ導いて見せる。