能見に異変…最悪の和田虎4位転落劇
「阪神2‐10中日」(29日、甲子園)
目を覆いたくなる惨劇だった。阪神はエースの能見篤史投手(35)が初回、1イニングの自己ワーストとなる8点を失うなどで大敗。昨年6月以来となる5連敗を喫し、4位に転落した。能見は左脇腹の異変を訴え三回途中で降板と、今後に不安を残した。
まさかの光景は、立ち上がりの投球だけではなかった。「異変」を残して降板した能見に、スタンドが騒然とする。2回2/3を9失点(自責点は5)の結果に加えて、試合後に発覚したのは左脇腹付近のアクシデント。和田監督が明かした。
「脇腹だね。伸ばしたのか違和感なのか、(症状も含めて)今は分からない」
三回だった。9点目を奪われ、2死三塁からルナにストレートの四球を与えて森野を迎えた場面。能見が藤井をマウンドに呼んだ。少し言葉を交わすと、藤井がベンチに目をやり、中西投手コーチが駆け寄った。能見自身が左脇腹を気にするしぐさも見せた中、そこで降板が決まった。
その後、能見は最後までベンチで試合を見守った。試合後、これ以上投げてひどくなることも考えたかという問いに「そういうのもある。いろいろある。何の異変かな」と答えた。
どこから投球に影響があったかは不明で、試合前からかという問いには「違う」と否定。ただ、中西投手コーチは「ボールが浮いたところをやられた。(試合前の)ブルペンでも良くなかった。今日だけじゃないけど」と振り返った。調子も良くなく、それが結果にも出てしまった。
初回、先頭からの3連打で1点を先制された。なおも無死一、三塁から、ルナに初球を左中間席に運ばれる3ランを浴びた。続く森野に二塁打を許すと、そこから失策も絡んで計8失点を喫した。
1イニング8失点は自己ワースト。次回について、能見は「それは俺に聞かないで」と話すにとどめたが、黒田ヘッドコーチは「(今後は)明日の状態を見てから」と話した。状態次第では出場選手登録抹消も視野に入れて、見極めていく。
チームは昨年9月以来の甲子園5連敗で、4月5日以来のBクラス転落に。ため息に満ち、「まさか」が続いた不測の事態。能見は「(早期降板が)最近多いので迷惑かけっぱなしです」と反省。仮に軽傷でなければ、チームにとってさらに重みを増す1敗となる。